人それぞれの楽しみ方

 よくあるクイズをお一つ。終戦から10年余りたって、国民の憧れ、豊かさのシンボルとされた「三種の神器」とは? 思い浮かぶ方も多いだろう。白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫。どれも日本人の生活を一変させた▲本紙「声」欄のテーマはきのうから3回にわたり「家電品」で、興味深い投書が並ぶ。「三種の神器」の時代を回想して〈洗濯機は洗濯するのみで脱水ができなかった。洗濯機のそばに付いているローラーを回して洗濯物を絞って干した〉と大村市の渕政子さん▲〈しかし画期的な家電品で相当助かったものだ〉と続く。便利な上に、家事という重労働を軽くする。肌で感じた「画期的」だろう▲時代は下り、平成の「新・三種の神器」はデジタルカメラ、DVDレコーダー、薄い大型テレビだった。生活を変えるというよりも、自分の時間を充実させる物になる▲令和の「三種の神器」はテレビ(高画質の4K、8K)、冷蔵庫、ロボット掃除機らしい。パナソニックの全国アンケートで憧れの家電品の上位を占めた▲高画質のテレビで存分に楽しむか、コロナ禍の世界をしばらく離れようと画面に見入るか。楽しみ方は人それぞれだろう。大勢でテレビを囲み、誰もが大声援を送ったはずの57年前の東京五輪とは、観戦の風景がおそらくかなり違っている。(徹)

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