ネクストミーツ株式会社(東京都新宿区)が、新潟県長岡市に研究機関を併設した代替肉の工場を建設

長岡工場(完成イメージ)。代替肉のR&D(研究開発)から生産ラインまでを備えた代替肉工場は国内初となる

植物性タンパク質などを原料に肉の味や食感を再現した「代替肉」の開発、製造、販売を行うスタートアップ、ネクストミーツ株式会社(東京都新宿区)は30日、新潟県長岡市に研究機関(ネクストラボ)を併設した食品工場を建設すると発表した。代替肉のR&D(研究開発)から生産ラインまでを備えた代替肉工場は国内初となる。

すでに長岡市の西部丘陵地区に2ヘクタールの土地を購入し、基本設計も完了していて、10月に着工、2022年夏頃の完成を予定している。建屋は約800坪で、投資額は約20億円。40〜50人を雇用し月産300トン程度の代替肉を生産していく方針。

また長岡工場では大豆など地元農作物を使った商品も計画していて、「すでに商品化に向けた話し合いを始めている」(白井良取締役会長)という。

このほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)や、再生可能エネルギーによる創エネ(自家発電)などの機能も取り入れている。「DXでは(職人など)人の動きを数値化、見える化し、将来はAIも使って(生産の効率化などを図って)いきたい」と佐々木英之代表取締役は話していた。

長岡に工場建設を決めた理由については、共同創業者の白井取締役会長が長岡出身であることや、食品と切り離せない水、空気などが綺麗であることなどという。白井取締役会長は、「役員や投資家から、物流面を考えると茨城などに建設したほうが良いのではないかという意見もあったが、長岡に建設する計画を押し切った」と話していた。

代替肉とは、前述の通り植物性タンパク質などを原料に肉の味や食感を再現した食品。動物が育てられる過程で大量の水を使い、温室効果ガスを排出するのに比べ環境負荷が少ないことから世界中で注目を集めている。また高タンパク、低脂肪・ノンコレステロールなども特徴で、市場規模は拡大しているという。

こうした中、ネクストミーツは「地球を終わらせない」という理念を掲げ、2016年に設立の準備に取り掛かり、2020年6月に設立した。現在、国内外の契約工場で、焼肉の代替肉としては世界初となる「NEXT焼肉」や「NEXT牛丼」、「NEXTチキン」、「NEXTバーガー」などの代替肉を製造し、国内のスーパー、飲食店などのほか、海外(台湾、シンガポール、ベトナム、米国など10カ国)で販売している。国内外の売上比率は現在、半々だが、現在販売している以外の国でも販売に向けた調整を行なっていて、今後海外の売り上げ比率が高まっていく見通しだ。

国内5か所の契約工場のほか、台湾、ベトナム、米国など海外数カ国にも契約工場があり、現在、30〜50トン/月を生産しているが、今年11月には生産ラインを強化し月産150トン体制に高める。さらに長岡工場では月産300トンの生産体制を予定している。

これらの生産体制の強化は、事業規模の拡大を見込んだものだ。法人設立後初めてとなる決算(2021年4月期)では売上高4,200万円だが、今期第一四半期(2021年5〜7月)は約1億円だった(今期の見通しは10億円)。さらに今後3年以内に売上高100億円にする目標を掲げていて、長岡工場は、それを研究面(世界から集まった生命学や理工学の研究者たちがバイオ肉や大豆に頼らない海洋生物など代替タンパク質など研究)と、製造面から支えていくこととなる。換言すると、長岡工場がフル稼働した暁には、100億円の売り上げ目標が視野に入っていることになるという。

NEXT牛丼

一方、ネクストミーツでは、オープンイノベーションも積極的に推進していて、株式会社ユーグレナ、長岡技術科学大学、亀田製菓株式会社などと協定を締結している。このうち亀田製菓とのコラボについては、「詳細は言えないが、お菓子の代替として子供が安心して美味しく食べることのできるプロダクトを年内に発表できると思う」(白井取締役)と話していた。

なおネクストミーツの米国法人は米国のOTC市場に上場し時価総額はおよそ3,000億円となっている。

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白井良取締役会長(左)と佐々木英之代表取締役。白井会長は新潟県長岡市の出身だ

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