【新型コロナ】神奈川の感染急拡大 背景に「最大の感染力」デルタ株のまん延 現実味増す医療崩壊

 新型コロナウイルスの新規感染者が3日連続千人を上回り、過去最多を更新し続ける神奈川。背景にはインド由来の変異ウイルス「デルタ株」のまん延があり、関係者は感染急拡大で現実味を増す医療崩壊に危機感を強める。

 「既存の感染症の中で最大の感染力を持つ」。県が30日に開いた対策本部会議で、幹部職員は険しい表情で人流抑制の徹底を訴えた。

 「圧倒的なスピードで世代を超えて感染が広がっている」。県のコロナ対策を取り仕切る阿南英明理事(医療危機対策担当)は、対策本部会議のメンバーを前に危機感をあらわにした。

 県内で直近1週間の新規感染者数は前週比で1.4倍になり、自宅・宿泊療養の患者数(4760人)も2週間で倍増した。16日の会議で「2週間後、場合によっては1日千人に到達する」とした阿南氏の想定を上回る深刻ぶりは、療養者振り分けの調整に遅れが生じた「第3波」の危機的状況に重なっている。

 「衝撃的な数字だ」。さらに出席者がため息をもらすのが、米疾病対策センター(CDC)がまとめたデルタ株のデータだ。感染者1人がうつす平均人数を示す「実効再生産数」は8~9人で、阿南氏は「既存の感染症の中で最大の感染力」と指摘する。

 従来株との違いは「感染の広がりやすさ」。感染経路が判明したケースのうち約7割は家庭内といい、「感染者と同居していれば家族のほぼ全員に広がってしまう」。変異株はすでに市中に広がっており、阿南氏は「来週以降、県の主たるウイルスはデルタ株になる」との見通しを示した。

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