侍ジャパン、悲願の金メダルへ「四球が大事」 専門家が推す「2番・近藤健介」

ドミニカ共和国戦で右前打を放った侍ジャパン・近藤健介【写真:Getty Images】

野球評論家の飯田哲也氏は「国際大会で連打、連打は難しい」

■日本 ー メキシコ(31日・グループリーグ・横浜)

東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は31日、横浜スタジアムでグループリーグA組2戦目のメキシコ戦に臨む。A組を1位で通過すれば、決勝トーナメントの日程が有利になる。1戦目のドミニカ共和国戦で薄氷を踏む逆転サヨナラ勝ちを収めた侍ジャパンは第2戦、そしてその後をどう戦っていくべきだろうか。

28日のドミニカ共和国戦では、9回に相手の守護神・アセンシオの不調に付け込み、一挙に3点を奪って逆転サヨナラ勝ち。ただ、8回までは4安打1得点と大苦戦を強いられた。現役時代にヤクルトなどで名外野手として鳴らした野球評論家・飯田哲也氏は今後の戦い方として「四球の重要性」を掲げた。

ドミニカ共和国戦は8回まで4安打。巨人のメルセデスが相手先発だったとはいえ、攻略に苦戦した。今後は初見の投手との対戦が多くなり、攻略はなお一層難しくなる。それだけに飯田氏は「相手投手のデータが少ない国際大会では、連打、連打で点を取ることが難しい。そういう戦いの中では四球が大事になります」と指摘する。

飯田氏はデータに乏しい投手を攻略する方法として早いカウントから積極的に打ちにいくべきだとも言う。「相手投手のことが分からないからじっくり見ていこうと考えていると、結局何もわからないまま追い込まれてしまう。スイングしながら、タイミングが早いなとか、遅いなと感じた方が攻略しやすいと思います」。一見すると相反する考え方にも見えるが、積極的に打ちに行き、かつ、ボール球には手を出さずに選ぶべきところで四球を選ぶことが重要となる。

クリーンアップの前に高出塁率の近藤健介を…

そのために、飯田氏は1つのオーダーも“提言”する。「クリーンアップに豪華な顔ぶれが揃っているだけに、1、2番には出塁率の高い打者を置きたい。四球が取れて、しぶとく、相手が嫌がる1、2番を組みたい」とし「近藤(健介外野手・日本ハム)をぜひスタメンで使ってみたい。2番に入れたら機能するのではないか」と推す。

近藤はドミニカ共和国戦で、3点を追う9回1死一塁の場面に菊池の代打として出場し、右前打を放ってチャンスを広げた。ペナントレースでは2019、2020年と最高出塁率のタイトルを獲得し、今季もリーグ3位の.418をマークする。「近藤の強みはボール球を振らず、ファウルで粘りながら四球を取れること。初対戦の投手が多い国際大会だが、1、2番が相手に球数を投げさせれば、後続の打者も雰囲気を掴むことができる」と、飯田氏もその意図を説明する。

飯田氏は「国際舞台ですごく打つイメージがある」と1番には菊池涼介内野手(広島)の名前を挙げ、以下のようなオーダーを組む。

1(二)菊池涼介
2(指)近藤健介△
3(左)吉田正尚△
4(右)鈴木誠也
5(中)柳田悠岐△
6(一)浅村栄斗
7(三)村上宗隆△
8(遊)坂本勇人
9(捕)甲斐拓也
【注】△は左打者

これなら、2、3番以外は8番まで右打者と左打者が交互に並ぶ“ジグザク打線”になる。「指名打者と一塁の2つのスポットを近藤、浅村、山田の3人で担う感じでいいのではないか。予告先発であることを生かして、相手先発が右腕の時に近藤を使うという方法もある」と続けた。

短期決戦では、各選手の調子を見ながら臨機応変にオーダーを組むことも重要になる。稲葉篤紀監督は悲願の金メダルに近づくために、いかに得点を取れる打線を組むだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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