感染拡大要因 危機感共有薄く、五輪も要因

 東京都での新型コロナ感染症の新規感染者が29日、3865人と3日連続し「過去最多」を更新する悪化を見せて、収まる気配がない。五輪強行が人流に大きく影響していることは否めない。ネット上では「緊急事態宣言発令します、五輪やります、って謎すぎることをやってしまったせいだ」などなど、政府の呼びかけが実効性をあげない背景に、整合性の取れない政府の感染対策姿勢があるといえよう。

 政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会閉会中審査で立憲の杉尾秀哉議員の質問に答え「今、感染を下げる要素というのはあまりない」とする一方「感染をあげる要素はたくさんある」と懸念した。

 尾身氏は「一般市民がコロナ慣れしていること、デルタ株の感染力が強くなっていること、夏休み、お盆休み、さらにオリンピックということ。そして最大の危機は、社会一般の中で危機感が共有されていないこと」と強く警鐘を鳴らした。

 尾身氏は「このまま危機感が共有されなければ、感染はさらに拡大する」と断じた。

 杉尾氏が「第4波は大阪を中心に事実上の医療崩壊状態にあったが、東京、首都圏でも起こり得るか」と今回の感染拡大状況を踏まえて質したのには、尾身氏は「今から対策を打つ必要がある」と答弁した。尾身氏は前日の衆院内閣委員会閉会中審査で「すでに医療崩壊は始まっている」と危機感を示していた。

 尾身氏は「感染拡大、医療逼迫を防ぐためにすべきことを、すべて全力でやってもらうことが当然の責任だ」と強く対応を求めた。

 ネット上では「五輪開催したことで人々のマインドが自粛なんて馬鹿げたことだと変わってしまった。コロナ蔓延初期に欧米で自由を奪うなと権利主張しパンデミックになった状況と似ていると思う。エビデンスなき安全安心を連呼し、コロナと五輪は関係なしと大本営発表。これでは国民が信用するわけもなく、政府の呼び掛けに従うはずもない」との声も。

 また「オリンピックもやっているのだからこれくらいならいいかと、人々の行動に歯止めが効かなくなっていると思います。路上のみやバーベキュー、友人との会食・ランチなどなど。夜でなくても昼間でもコロナの感染は広がりますからね」との声や「国を挙げて五輪を開催していれば国民の気が緩むのは当然だと思う。政府は緊急事態宣言で国民に自粛を求めても、五輪をやりながらでは信頼されない。だから宣言効果がほとんどない。五輪開催がもたらす大衆心理への影響が人流が減らない原因であることを認めるべきだろう」などなど、整合性の取れない政府の感染対策姿勢が背景にあることをあげる声が多い。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース