「被爆者の無念伝えたい」 平和祈念式典へ岡さん決意 司会務める高校生と会見

8月9日の平和祈念式典で「平和への誓い」を述べる岡さん(中央)と司会を務める塩田さん(左)、佐藤さん=長崎市役所

 8月9日の長崎原爆の日の平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を述べる岡信子さん(92)=長崎市住吉町=と、司会を務める高校生2人が30日、長崎市役所で記者会見した。岡さんは取材に「亡くなった被爆者の無念や平和の祈りを『誓い』で伝えたい」と決意を語った。
 岡さんは当時16歳で、大阪の看護専門学校の学生だった。爆心地から1.8キロの同市東北郷(現・住吉町)の実家に帰省していて、原爆に遭った。左半身に無数のガラス片が刺さるけがを負いながらも、日赤長崎支部から召集され、新興善国民学校の救護所で救護に当たった。
 「誓い」では、負傷した被爆者の体にうじ虫がわくなど当時の過酷な状況や体験、核兵器廃絶への思いも訴える。岡さんは「核兵器をなくすために、若い人に伝えていきたい」と語気を強めた。市によると、内容は岡さんの原案通りになったという。
 司会は県立長崎工業高3年の塩田彪斗(あやと)さん(17)と2年の佐藤百合さん(16)に決まった。同校の前身は県立長崎工業学校で、原爆により生徒や教職員ら231人が犠牲になった。
 塩田さんは校内の慰霊碑や古い記録を見て、原爆の脅威を実感したといい、「全世界に平和を発信することに意味がある。(司会を通して)1人でも多くの人に平和に関心を持ってもらいたい」と抱負を述べた。
 佐藤さんは被爆3世で父方の祖母が被爆者。選出を前に初めて祖母に体験を聞き、祖母は涙ながらに語ってくれたという。放送部の佐藤さんは「声を通して、若い世代が平和を伝え、知っていかなければならないと伝えたい」と話した。

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