佐世保の鮮魚、昼すぎには大阪へ 高速物流の事業化 ジェイエアが実証実験

鮮魚の入った箱を西肥バスに積み込む米倉さん=北松佐々町、西肥自動車北部営業所

 日本航空グループのジェイエア(大阪府)は、公共交通機関を活用し、長崎県佐世保市で水揚げされた魚をその日の昼すぎに大阪市の飲食店まで輸送する「高速物流サービス」の実証実験を行っている。生鮮食品を迅速に消費地へ届けることで、新型コロナウイルス禍で売り上げ減少などの影響を受ける生産者や飲食店を支援する目的。今後、他の路線でも実証実験を行い、本年度中の事業化を目指す。
 同社は大阪(伊丹)空港を拠点に約30路線を運航。コロナ禍による乗客の減少に伴い、空いている貨物スペースの活用策を検討する中で、今回のサービスを企画した。16日から初めての実証実験を佐世保市で開始。31日までに計7回実施する。
 同市の米倉鮮魚店や西肥自動車(西肥バス)などが協力。午前5時すぎ、市地方卸売市場水産市場(相浦町)でその日水揚げされた魚を、米倉鮮魚店が内臓の除去などをした上で箱詰めする。西肥バスで長崎空港まで運び、ジェイエアの定期便で大阪空港へ。その後バスで輸送し、大阪市中央区の飲食店に午後2時半ごろまでに到着する。
 これまでにタイやヒラマサ、ヤリイカ、シマアジ、イサキ、ヒラメ、長崎ハーブ鯖などを届け、すしや刺し身などで提供された。客からは「これまでに食べたことのない食感で、味もいい」などの声が上がっているという。
 今後も日航の貨物担当部署「JAL CARGO」と連携し、岩手-大阪などで同様の実証実験を行う方針。その日水揚げされた鮮魚を各地方から大阪へ迅速に輸送する体制の構築を目指す。
 米倉鮮魚店の米倉弘真(ひろみち)さん(42)は「地元のいいものを新鮮な状態で食べてもらえることはうれしく、生産者のやりがいにもつながる」と期待。ジェイエアの担当者は「長崎を皮切りに全国で使えるシステムにしていきたい」と述べた。

大阪に輸送する魚の下処理をする米倉鮮魚店の従業員=佐世保市地方卸売市場水産市場

© 株式会社長崎新聞社