開門の余地残す協議を否定 国が意見書 諫干請求異議差し戻し審

 長崎県の国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審で、福岡高裁が和解協議の場を設ける考えを示していたことに対し、国は30日、「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」などとする意見書を同高裁に提出した。開門派弁護団が明らかにした。同弁護団は「国は裁判所の考えを全く理解していない。議論を拒否することがあってはならない」と反発している。
 同高裁は4月、同事業を巡る問題を「統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話し合いによる解決のほかに方法はない」などとして、和解協議の場を設けることを文書で示し、国に協議での主体的、積極的な関与を強く求めた。「開門」「非開門」の方向性は示さず、協議の前提条件はつけていない。
 農水省農地資源課は取材に「裁判所の提案に対して国として意見を文面で提出したことは事実だが、係争中の事案であり、具体的な中身については差し控える」とした。その上で「開門せず、有明海再生に向けた基金で解決を目指すことがベストという考えは変わらない。一般論として、非開門を前提とした和解協議なら真摯(しんし)に検討したい」とした。
 次回進行協議は8月18日に設定されている。開門派弁護団は「非開門・基金による解決しかないと国が主張する理由は何か、その根拠について改めて反論し、議論していきたい」とした。

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