映画監督・片山慎三×映画評論家・森直人、連続ドラマW『さまよう刃』トークを展開!

“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」の最新回は、この5月から6月にかけてWOWOWにて放送された連続ドラマW『さまよう刃』についてのトーク。MCはお馴染みの映画評論家・森直人が担当し、本作を手がけた片山慎三監督を迎え、この二人の組み合わせならではのトークを展開している。 片山監督を当番組のゲストとして迎えるのは、これで4度目。監督の長編デビュー作である『岬の兄弟』のトーク回、片山監督の師匠筋にあたる「ポン・ジュノ特集回」、そして、短編映画『そこにいた男』トーク回に続いての登場となった。片山監督が本作の企画に携わることとなった経緯についてまず森が質問すると、「プロデューサー陣が、竹野内豊さんのところにまずこの企画を持っていったんです。そこで、『監督はどうしましょうか?』となったときに、竹野内さんが『岬の兄妹』を観てくださっていたようで、『片山さんだったら』ということになったようなんです」と片山監督。多方面で大きな反響を呼んだ『岬の兄妹』だが、こういったところにも同作の影響力の大きさがうかがえるだろう。

本作『さまよう刃』は、作家・東野圭吾による同名小説を原作としたもの。これまでに、2009年には寺尾聰主演で映画化され、2014年にはチョン・ジェヨン主演で韓国でも映画化されてきた東野の代表作だ。男手一つで育ててきた娘を少年たちに残忍な手口で殺され、復讐の道へと突き進む父親の姿が描かれていく。人を裁くのは、人か、法か、それとも社会か、観る者に問いかける。人間の“罪と罰”への想いが描かれた鮮烈な人間ドラマだ。主人公の父親役には、かつて映画版にて主人公を追う刑事役を演じた竹野内豊。そのほか、石田ゆり子、國村隼、三浦貴大、古舘寛治、瀧内公美、井上瑞稀ら手練れの演者陣が配され、濃密な絡み合いを展開する。 これまでの映画版との感触の違いに言及する森は、「片山さんが一番ガッツリと原作に向き合っているのかな、という気がしました」と発言。これに監督は「原作を読み返し、過去の二作を見返したところ、やっぱり『過去の二作にないものは何だろう?』というところに行き着いたんです」と答えている。映画化するには、原作から端折らなければならない点が必ず出てくるもの。今回片山監督は、主人公の周りの人々のバックボーンにもできるだけフォーカスしたようだ。そのためには、全6話というのは適切なものだったという。 さらに本作は、片山監督作品ならではのキャスティングも光る。主演の竹野内や石田の配役に惹かれて本作のオファーを受けたという監督だが、『岬の兄妹』にも出演した“片山組”のメンバーともいえる松浦祐也、和田光沙、北山雅康らが登場するほか、『佐々木、イン、マイマイン』をはじめとする話題作に次々と出演を果たしている河合優実、事件に関与する少年たちの役として井上瑞稀、市川理矩、名村辰らが名を連ねている。彼らが絡み合うことで生まれる化学反応にも注目の作品だ。 そのほか、いつものごとく今回のトーク内容の充実っぷりもかなりのもの。現在、連続ドラマW『さまよう刃』は「WOWOWオンデマンド」にて配信中だ。未見の方は本編とともに、こちらで裏話を楽しんでいただきたい。

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