〈私は喜劇役者だ。 世の中が変わったって、 大切なものを手放したって、 「今度はこんな役なのね」とまずは演じてみる。
そして最後は、 すっきり笑って死んでいく。 ただそれだけだ〉
榎本健一から貰い子どもの頃から大切にしてきた「守り神」のキューピー人形や、 高倉健と江利チエミの結婚式の写真、 さらには東郷青児が描いてくれた似顔絵まで……女優の中村メイコさんの家には、 数々の「宝物」があった。 でも、 「いちばん大事なもの」から捨てないと人生の最後を身軽に生きることはできない。 80歳のとき、 戸建てからマンションへの引っ越しを機会に始めた一大整理で、 トラック7台分以上ものモノを手放した。
〈二歳半で芸能界デビューした私の人生は、 日本のテレビ放送の歴史とともにあった。
何しろ私は戦前(テレビ放送が始まる前)のNHKの実験放送にも出演している〉。
2019年には股関節骨折と入院を経験。 コロナ禍で女優業も思い通りにならない。 そんな中でも前向きに生きるメイコさん、 現在87歳の日々――「人生晩年を明るく過ごすためのヒント」。
【本書に登場する方々】
徳川夢声、 東郷青児、 古川ロッパ、 榎本健一、 杉村春子、 上原謙、 森繁久彌、 田中角栄、 吉行淳之介、 三木のり平、 高峰秀子、 三島由紀夫、 小沢昭一、 勝新太郎、 高倉健、 菅原文太、 黒柳徹子、 長嶋茂雄、 江利チエミ、 美空ひばり、 緒形拳、 小林旭、 四代目江戸家猫八、 (以下ご家族)父・中村正常、 夫・神津善行、 長女・カンナ、 次女のハヅキ・杉本哲太・太吉・八重、 長男の善之介・宇之介 ほか
本書内容 ~ 目次より
第1部 ものを捨てたら、 身軽な暮らしが待っていた トラック七台分の片付け大作戦/「ときめき」ではなく「実用性」が捨てる基準/亡き母のような「あげ魔」になりました/娘に託した淡い恋の想い出/ひばりさんの宝物は、 棺桶に入れてください 第2部 頑張らない、 我慢しない、 気楽に日々を送るコツ 転倒、 骨折して気づいた「怪我の功名」/家事を頑張りすぎてはいけません/朝からお酒を飲んだっていいじゃない/「自分は無趣味だ」と悩んでいませんか?/花を生けると暮らしが華やぐ/八十歳を超えたら、 パステルカラーを着よう/ペットとの別れを乗り越えて 第3部 大切な家族とも、 距離をとって生きる 結婚五十年、 夫婦が辿り着いた程よい距離感/目標は、 夫を一日1回笑わせること/厳しすぎてもいけない「孫の叱り方」/厄介な親戚付き合いにも終わりが来る 第4部 「老いの常識」にとらわれず、 自由に死んでいく 「葬式女優」の理想の別れ方/たくさんの友達と過ごすより、 一人が気楽/黒柳徹子さんとの「不思議な友情」/「在宅死」より「病院死」のほうがいい/夫婦が別の墓に入ってもいい/もう少しだけ、 人生という「喜劇」は続きます 以上ほか