【東京五輪】 ロシア人選手の出場、対戦選手らから反発の声も

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東京オリンピックで金メダルを獲得して表彰台に立つロシア人選手は、ロシア国歌ではなくチャイコフスキーのピアノ協奏曲を耳にする。疑問の声を耳にすることもある。

今大会ではドーピング問題に対する制裁の一環として、300人以上の選手がロシアではなくロシア・オリンピック委員会(ROC)として30あまりの競技に出場している。

30日時点のメダル獲得数は金10個を含む34個で第4位。しかし対戦相手国の中には、ロシアのドーピング問題を理由に、同国の選手はそもそも今大会に出場すべきではなかったと考える選手もいる。

「多分クリーンではなかった」

30日の競泳男子200メートル背泳ぎで2位になったアメリカのライアン・マーフィーは、ロシア人のエフゲニー・リロフに金メダルを奪われた後、この決勝は「多分クリーンではなかった」と発言した。

マーフィーは後に、ドーピング全般についての発言だったとしてこのコメントを撤回した。一方のリロフは、ロシアのドーピングの過去を前提としてマーフィーがそう考えるのも無理はないと語った。

この種目で銅メダルを獲得したイギリスのルーク・グリーンバンクは「レースの相手がクリーンかどうか分からないのは明らかに、とても難しい状況だ」とコメントした。

「明らかに、ロシア連邦がオリンピックに来ることについてはいろんな報道がある。それを1人のアスリートとして見ているのはいら立たしい。国家主導のドーピングが行われていて、対策のためにできることがもっとあると分かっているのに」

ROCは反発

この前日にはボート女子ペアで、ROCのヴァシリサ・ステパノワとエレナ・オリャビンスカヤのペアが銀メダルを獲得。アメリカのメガン・カルモーは「そもそもここにいるべきではないクルーが銀を持ち去るのを見るのは嫌な気持ち」と心境を語った。

一方、テニスのダニール・メドヴェージェフは今週、ロシア人選手たちが「不正行為の汚名」を背負って出場しているのかと質問した記者に対し、怒りをぶつけた。

「私が質問に答えないのは人生で初めてだ。あなたは自分を恥じるべきだ。あなたとは2度と会いたくない」

ROCは競泳のマーフィーの発言を受けて、ROCのアスリートの出場は「完全に正当だ」と

書き込んだ。

「好きだろうが嫌いだろうが、負け方を知るべきだ。だがみんながそうしているとは限らない」

「古い手回しオルガンがまた、ロシアのドーピングの調べを奏でている。誰かが一生懸命ハンドルを回している」

今大会の陽性はまだゼロ

ロシア人選手の出場方法が制限されたオリンピックはこれで3大会連続となる。

2014年にドーピング疑惑が発覚し、2016年にはロシアが夏季と冬季のオリンピック競技の「大多数」で4年間にわたる国家主導のドーピングを行っていたとする報告書が発表された。この中には、開催国ロシアが最多のメダルを獲得した2014年ソチ冬季オリンピックの検査結果改ざんも含まれていた。

2016年リオデジャネイロ大会にはロシア人選手が幅広い競技に出場したが、陸上選手の出場は禁止された。2018年の平昌冬季オリンピックは、ドーピング記録のない選手が「ロシアからのオリンピック選手団」の名で出場を認められた。

東京大会の陸上競技に出場しているROC選手は10人のみ。世界陸上競技連盟のセバスチャン・コー会長は今週、陸上競技連盟の出場停止処分が続いているロシアについて、長い「隠蔽(いんぺい)」の歴史やドーピングに関する進展がほとんどないことを考えれば、出場できる選手がいるだけでもありがたく思うべきだと強調した。

「論議はかなり厳しい内容だった。私の同僚からは、中立的な選手を出場させるべきかどうかに疑問を投げかける声も出た。10人が適切な数字だと作業部会が判断し、理事会がそれを承認した」とコー会長は説明した。

東京大会では国際オリンピック委員会(IOC)の独立機関、国際検査機関(ITA)がドーピング対策を統括している。

ITAは30日、東京大会で予定されているドーピング検査5000回のうち半分以上を実施したが、まだ陽性のケースに関する情報はないと発表した。

ITAによると、検査数が多かった競技は水泳、ボート、陸上競技、自転車、ウエイトリフティングで、検査数が多かったチームはアメリカ、オーストラリア、中国、イギリス、ROCだった。

ROC選手がメダルを獲得すると

今大会でROCの選手が着ているユニフォームにロシア国旗は入っていない。ただ、青、赤、白をあしらったトラックスーツは「ロシア」の国名や紋章などが入っていなければ着用できる。

ROC選手がメダルを獲得した場合、オリンピックリングと3つの炎をあしらった旗が掲揚される。

金メダルを獲得すれば、華々しいロシア国歌の代わりに、ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が流れる。

(英語記事 Russians face backlash from Olympic rivals