「子どもの騒音でクレームが…家を買いたいが経済的に不安」40歳シングルマザーの悩み

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回は、3歳のお子様と賃貸で二人暮らしのシングルマザーからのご相談です。子どもの騒音でご近所からクレームが続いているため、持ち家の購入を検討されていますが、経済的に不安だといいます。FPのたけやきみこ氏がお答えします。

高齢シングルマザーですが、住宅を購入して教育費を準備して、老後資金も確保出来るか不安です。

高齢で出産し、親兄弟の助けもなく養育費もありません。子どもが元気で、ご近所からクレームが続いています。子どものために中古でも家を購入したほうがいいのかと思っていますが、経済的に不安です。

現在、保育料は3万9,700円ですが、来年から少し楽になると思います。

給与には、2万6,000円の会社からの住居手当が含まれているので、住宅を購入すると手当が無くなります。また、給与から持株会が1万円、企業年金3万円が天引きされています。企業年金は退職時に1,000万円になる予定です。さらに、2年前から毎月iDeCoを限度額1万2,000円積み立てています。

ボーナスは生命保険や車の保険等でほぼ無くなります。

児童扶養手当は限度額でもらっていません。児童手当は無いものとして手を付けずに貯めています。

●物件購入額900万円、リフォーム500万円、手数料100万円で購入しようかと悩んでいます。

●年金は直近の年金定期便で年額65万でした。

●退職金は60歳で退職するとして1,500万程度の予定

【相談者プロフィール】

・女性、40歳、会社員、シングルマザー

・同居家族について:3歳の男児と2人暮らし

・住居の形態:賃貸(兵庫県)

・毎月の世帯の手取り金額:20万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:80万円

・毎月の世帯の支出の目安:18万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:5万3,000円

・食費:3万円

・水道光熱費:1万2,000円

・教育費:5万円

・通信費:1万3,000円

・車両費:3,000円

・その他:1万9,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):550万円

・現在の投資総額:1,350万円

・現在の負債総額:0円

※個人情報保護のため、相談内容を一部編集しています。


たけや:子育てに奮闘中のお母様からのご相談です。持ち家をローンで購入し、将来の老後資金は確保できるのかというものです。定年を60歳とすると、安定した収入が入るのは残り20年です。準備すべきことの優先順位を踏まえてお答えします。

ご近所トラブルについて考える

元気なお子様のようですね。騒音が出てしまうのでしたら、まずは騒音を低減する方法を考えてみませんか。

足音や遊ぶ時の音なら消音マットを敷くのもおすすめです。大きな音を出してはいけないことなど、繰り返し伝えてあげることは大切です。ご近所とトラブルになる騒音自体が何の騒音なのかわかりませんでしたが、例えば、「夜8時を過ぎたら、静かにしようね」などと、お話をしてみてはいかがでしょう。お子様が我慢出来たらたくさん褒めてあげてください。お子様も成長していきますので、徐々に騒いでしまうことも減っていくのではないでしょうか。

わが家の息子は発達障害でかんしゃくを起こすと手が付けられませんでした。それでも、今や大学生になり、落ち着きましたよ。男の子は実年齢から3歳を引いてあげるくらいの気持ちで接してあげると気持ちが楽になりました。

また、お互いのことを知らないからこそ、他人の生活音が気になるものです。大きな生活音が出てしまうならば、あらかじめ、事情を説明してみてはいかがでしょうか。

それでも、必要以上にクレームを言われるようであれば、相談者様自身の安全確保という観点からも引っ越しの検討もすべきでしょう。引っ越し時の住居の選択肢として、賃貸か持ち家かがありますが、まずは賃貸から検討してみましょう。

もし持ち家を買ったとしても、マンションのような集合住宅では騒音問題はつきものです。また、戸建てに入居されても、夜遅くまでお子様が騒いだりしては、根本的な解決にはならないかもしれないからです。

子どもの成長に合わせて賃貸を見直していく選択肢も

相談者様のご質問の中に、「子どものために中古でも家を購入したほうがいいのかと思っています」という文章がございました。物件を購入する理由は、子どもの騒音に気兼ねをしたくないためなのでしょうか。もしかしたら、トラブルが原因で、ギクシャクしたご近所関係になってしまったという理由はないでしょうか。いずれにしても、一時的な気持ちが理由ならば、不動産のような大きな買い物をされるのはおすすめしません。

現在、住宅手当が支給されていますので、手当を活用しつつ、お子様の成長に応じて、間取りや広さを見直していかれてはどうでしょう。お子様の進路によっては、寮に入ることもあるかもしれません。そうなれば、相談者様おひとりの間取りでも足りるかもしれません。お子様が独立されるのが高校卒業後であればあと15年、4年制大学を卒業後であればあと19年くらいでしょう。まだまだ先のことと思いがちですが、あっという間にやってきます。

物件を購入する理由を改めてじっくり考えましょう

もちろん、購入することが間違っているということではありません。

例えば、60歳で定年を迎えるまでの20年でローンを組んだ場合、ローンにもよりますが毎月の返済額を7万円とすると現在の住居費用に少し上乗せしたくらいになります。要件を満たせば住宅ローン控除が適用され、家計をやりくりをすれば返済は可能だとは思います。

一方で、お子様にお金がかかる時期とも重なるため、その負担時期によっては家計のやりくりに苦労されるかもしれません。また、不動産を所有すれば資産には税金がかかりますし、修繕費も準備しておく必要があります。

お子様が独立された後、相談者様がおひとりで住み続ける場合、リフォームだけで大丈夫なのか、再建築が必要なのか、あるいは手放すとすればその資産価値はどれくらいになりそうか、ある程度の見通しを立てておきましょう。

やっぱり購入しなければよかったと後悔しても、持ち家の場合は簡単に引っ越すことができません。相談者様が物件(不動産)を購入する目的を今一度再確認して、購入される理由を明確にされてはいかがでしょう。

教育費の確保が最優先

ライフイベントの優先順位として最優先すべきは、教育費の準備です。お子様の進路計画については書かれていませんが、今後、就学を迎えて、学費以外にも、習い事や塾代がかかるようになります。現在の教育費は5万円です。このうち保育料が含まれているという前提でお話します。

保育料が減額され、その後卒園して保育料がなくなったあとは、払ったつもりで保育料分を貯蓄に回しましょう。小学1年生から高校卒業後まで毎月3万円を積み立てれば、約430万円が貯まります。途中、進学する学校が私立になったとしても、積み立て分から取り崩して利用できます。

お子様が将来、どのような進路を望まれるのか今はわかりませんが、相談者様がお子様の進路希望についてどこまで希望通りにされたいのかなど、ご家庭の方針を考えておかれてはいかがでしょう。そして、大学進学までの教育費が必要と考えた場合は、そのための資金の準備をしましょう。

もし教育費が不足すれば、ほかから資金を工面しなければいけません。相談者様が教育ローンを借りる、お子様が奨学金を借りる、あるいはどちらも必要になるかもしれません。借金をすれば返済をしなければいけない分、貯蓄をする機会が失われますので、ご家庭で最大限の準備ができるように計画を立てましょう。

老後の準備は現状維持で

老後の準備については、iDeCoなど国の制度を活用されていらっしゃると感じます。退職金も大まかにでも把握ができていらっしゃるので、収入の範囲の生活にシフトができそうかどうか、シミュレーションをしてみてください。

例えば、退職金が1,500万円で65歳から90歳までの25年間で割り算すると、1年に取り崩しができるのは60万円なので、ひと月では5万円です。老齢年金の見込額は50歳になれば、ねんきん定期便で確認できますので、その年金額を毎月の金額に引き直してみて、ひと月分の生活費を試算してみてください。

仮に、ひと月が15万円だったとしたら、15万円の生活スタイルにシフトができるかどうかシミュレーションしてみましょう。毎月の生活費のほかに、加齢に伴う費用も考えておく必要がありますから、退職金以外の資産を毎月の生活費に充てるのは避けましょう。また、定年時に健康であれば、アルバイトをして現金収入を得ることも可能です。

お子様がいらっしゃれば、教育費の準備が優先され、ご自身の資金準備は後回しになりがちです。それでも、相談者様は老後のためのご準備をきちんとすすめていらっしゃいます。教育費はかかる期間をあらかじめ知ることができる費用です。だからこそ、準備もしやすいと思います。お子様が経済的に自立されるまでが子育ての1つ目のゴールだと思いますので、まずはそこを目指しましょう。

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