【侍ジャパン】道産子ドラ1・伊藤大海 度胸満点2回零封「引いたらやられてしまう」

メキシコ打線に得点を許さなかった日本ハム・伊藤

未来に光を灯す見事な国際デビューだった。東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指す野球日本代表・侍ジャパンは31日、オープニングラウンドのメキシコ戦(横浜)に7―4の逆転勝ち。登板しした4投手の平均年齢が23歳と、日本球界を今後背負って立つであろう才能豊かな若い投手陣が躍動した。

先発した23歳の広島・森下の後を受けて2番手でマウンドに上がった日本ハム・伊藤大海投手(23)も堂々のマウンドさばきで、予選ラウンド1位突破に大きく貢献した。「ホッとしたというのが一番です」と素直に話したが、マウンドで見せた振る舞いと強気な投球は、チームに勇気を与えた。

所属する日本ハムでは、先発した前半戦最後の6試合を6連勝で飾ったドラ1ルーキー。この日の出番は6回からの救援だった。「独特の雰囲気。いつもにはない緊張感があった。その中でも自分の投球を1球目からできたというのは次につながると思う」。

心構えが新人離れしている。五輪前の仙台での強化合宿。代表で求められる自らの役割を自覚した上で「自分のチームでも大事にしていることですが、自分のペースを乱さないことを大事にして準備していきたいです」と言い切った。名のある先輩たちに囲まれる環境で、日の丸の重みを感じつつも信念を貫ける強さがある。

どんな局面でも試合の入りを大事にする男は、この日も最初のイニングを三者凡退に封じた。続く7回は安打と四球で得点圏に走者を背負ったが「引いたらやられてしまう」と気持ちを奮い立たせてピンチを絶った。

「シーズン中もそうですけど、1球目がどうしても緊張する。その1球が良くても悪くても緊張はほどけるものなんですが、今日はその先も硬さが出てしまったような気はします」

力強い真っすぐに縦変化するスライダーを武器に国際デビューを果たした道産子右腕。不慣れな中継ぎにも「投げたい気持ちでウズウズしていた」と肝が据わっており、どこまでも頼もしかった。

試合後、建山投手コーチは「もともと立ち上がりの良い投手なので、ああいったところで信頼して任せた」と、重圧のかかる母国五輪でも動じない23歳に目を細めた。

最後に、稲葉ジャパンの貴重な戦力として「これからの代表でも背負っていなかなければならないポジションだと思っているので、そういう部分もしっかりと考えてやっていきたい」と口元を引き締めた伊藤。追加招集で加わった若き右腕が、最強軍団の中でその実力を今後もいかんなく発揮しそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社