なぜ敗れた…小川直也氏が柔道・混合団体を徹底分析「銀メダルの流れが見えたよね」

金メダルを喜ぶフランス勢(右)を見つめる日本代表

敗因はどこに――。柔道競技最終日(31日、日本武道館)、新種目に採用された「混合団体」の決勝で日本はフランスに敗れてまさかの銀メダル。戦前は「絶対金メダル」とも言われた団体戦で初代王者の座を逃したが、バルセロナ五輪95キロ超級銀メダルの〝元暴走王〟小川直也氏(53)がその意味を緊急分析した。

【小川直也 暴走レッドゾーン】勝負を分けたのは先鋒戦だったね。柔道の団体戦では先鋒がカギ。先鋒が勝つと勝率が上がると言われているだけに、そこを落とすと逆転は本当に大変なんだ。

混合団体の試合順は抽選なんで仕方のないところだけど、日本チームは女子70キロ級金メダルの新井(千鶴)さんが最初に決まったことで、絶対に「1勝」を計算していたはず。相手のアグベニューも金メダルでも、1階級下だからね。まして新井さんの個人戦での戦いぶりからすれば、まず負けないと思うよね。

そこで落としていまい、団体戦で期待された向(翔一郎)君でも落として…となったら、もう逆転は厳しい。フランスにはロンドン&リオ五輪金のリネールがいるし、何より女子勢が強かった。最初の2試合を負けた時点で、銀メダルの流れが見えたよね。

でも一つ、声を大にして言いたいのは銀メダルは全然悲観することじゃないし、オレはこれでよかったんじゃないかなと思っている。正直、混合団体は5人制でも7人制でもなく中途半端な6人制ということもあって「どんなもんだろ?」とみていたんだ。

でも、フランスチームは次のパリ五輪の開催地ということで、かなり気合が入っていたよ。だから決勝の試合はどれも緊迫した好勝負ばっかりだったし、本当に面白かった。テレビで見ていた方にも団体戦の魅力が伝わったんじゃないかな。

ともすれば「日本が金メダルを取るために団体戦をつくった」とか「選手は個人戦に集中した後だからつまらなくなる」とか言われていたけれど、いやいや真剣勝負で柔道の面白さが引き出されていたよ。

もちろん日本チームは悔しいと思うけれど、前回(1964年)の東京五輪では無差別級決勝で神永(昭夫)先生がオランダのヘーシンクに敗れて、五輪の柔道競技が始まった。今回の新種目も銀メダルのスタート。今度は3年後、敵地に乗り込んでリベンジを目指せばいい。そのほうがニッポン柔道の発展につながるんじゃないのかな。

© 株式会社東京スポーツ新聞社