【柔道】大野将平 退任する“心の師”へ「僕の柔道人生は井上監督とともにありました」

男子73キロ級で優勝した大野(左)をねぎらう井上監督

東京五輪の柔道競技が8日間の熱戦を終えた。最終日の31日、新種目の混合団体でフランスに敗れて銀メダルとなった後、男子日本代表の井上康生監督が退任の意向を発表。有終の美は飾れなかったものの、同競技の日本最多の金メダル「9」は誇れる結果だった。

一方、団体キャプテンを務めた大野将平(旭化成)は個人で73キロ級の連覇、混合団体では銀メダル。その心境を「男子の井上ジャパン最後の日ということで、みんなで写真を撮ったり、そういった幸せな気持ちを感じつつ、銀メダルで終わった悔しさとが入り交じった複雑な気持ちです」と表現した。さらに、大野は「私自身、初代表になったのが2013年、本当に井上監督の体制とともに私の柔道人生はありました。初めて見たオリンピックも(井上監督が100キロ級金メダルの)シドニー。すべてが井上監督とともにあったなと感じます」と思いにふけっていた。

それだけに最終日に金メダルを取れなかったことが心残り。決勝戦は出番がなかったが「自分自身が何の巡り合わせか大将になって、そういった運命を感じて『ドシっと構えてくれ』と言われたんですが、残念ながらこの素晴らしい舞台で自分の柔道を見せることはかなわなかった。最後に井上監督を男にしたかったんですけど、それがかなわなかった」と話した。

その上で「最後、金メダルをかけられなかった申し訳なさが強いですが、それすらも受け止めて『胸を張ってこい』と言ってくださる井上監督を選手全員、大好きですし、尊敬していますし、これで終わると思うと…なんとも言えない気持ちになりますね」と何度も言葉を詰まらせながら語った。

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