【柔道】避けては通れぬ100キロ超級の壁 石井慧が提言「各選手1つ階級上げても面白い」

仏リネールに完敗したウルフ・アロン

【石井の慧眼】今回は日本に追い風が吹いてましたね。天の利、地の利、人の輪といろいろありましたけど、さすがにやはり(現行ルールで禁止されている)足取りがあってもいいんじゃないかと思います。柔道界の今後を考えると、一つの国で独占する状況になりすぎるのも…と思うので。

それと今回、絶対に言っておきたかったことが、「パウンド・フォー・パウンド」(体重差がなかったと仮定した際の最強を意味)という言葉に惑わされないでほしいということです。大野(将平)君が勝った時、みんなが言っていましたが、実際比べようがないんですよ。

確かに大野君は、素晴らしい選手で講道学舎の柔道を地でいっている選手だと思います。技は切れるし。でも身長が2メートルあり、体重が120キロあって、それで動けることも技術なんですよ。そういう面でやはり、原沢(久喜)君が出た100キロ超級が一番大切なんじゃないかと。金メダルラッシュって言うけど、もうちょっとシリアスに超級を強化していったほうがいいと思います。

超級が強くなるには、100キロ以下と100キロ超級で同じ練習させていたらダメです。100キロ超級になると選手の体重が一気に増えるんです。そうなると、例えば同じ距離を走ってもヒザへの負担が違って、時によっては相手との体重差も一番ありますから、超級は超級で別に練習させた方がいいんです。

あとはフィジカルの練習が重要だと思います。軽量級はウエートをしすぎると体重が増えるからある程度しかできないですけど、超級は制限がない。斉藤(仁)先生もよく「100キロ超えててもバンバン走れてジャンプしてベンチ上げてスクワットできる、アメフトの選手みたいな体を目指せ」と言っていました。

今後の柔道界は、しばらく軽量級は日本は強いと思います。それと各選手1個上の階級に上げることを検討しても面白いんじゃないでしょうか。100キロ級のウルフ(アロン)君は次、100キロ超級で。大野君も81キロに上げて、阿部(一二三)君か丸山(城志郎)君が73キロに上げるとか。みんなにそういうチャレンジをしてもらいたいですね! (総合格闘家)

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