【アニソン四半世紀】ASA―CHANG&巡礼「花―a last flower―」子供がうっかり聴いたら泣く怖さ

アニメ「惡の華」コンセプトE.P.「惡の花譜」CDジャケット

2013年に放送された「惡の華」は、何から何まで個性が際立った、異質な感触のアニメだった。原作は押見修造の漫画だが、主人公の男子高校生が、思いを寄せる女子の体操着を盗んでしまうという事件から始まる背徳的なストーリー。全編にロトスコープを使ったのも日本のアニメでは史上初。ロトスコープとは、まず実写の映像を撮影し、それをトレースしてアニメ化するという手法で、通常のアニメとは質感が全く違う。

そして、このエンディングテーマ曲「花―a last flower―」だ。東京スカパラダイスオーケストラのリーダーだったASA―CHANGが、グループ脱退後にASA―CHANG&巡礼名義で2001年に発表した「花」の別バージョン。これが、実に気持ち悪いというか、不安をあおるというか、要するに“怖い”のだ。子供がうっかり聴いたら泣くレベルで怖い。

ジャンルをしいて言うなら“実験音楽”ということになるのだろうが、何かの民族的儀式に使われるような淡々としたビートに乗せて、シュールな歌詞が語られる。ラップではない、語りだ。しかも言葉を不規則なリズムでブツ切りにして、呪文のように繰り出される。

先述のように、既発表曲がベースなのでアニメで使用された時点でオリジナルを知っている人もいただろう。また、ASA―CHANGの音楽になじみがある人なら、それほどの衝撃は受けなかったかもしれない。しかし、実験音楽に免疫がないアニメファンが突然これを聴いたら、背筋が凍ったのではないか? ある意味、アニソン史上に残る伝説的な一曲である。

© 株式会社東京スポーツ新聞社