【東京五輪】コロナ感染者爆増 医療専門家は五輪開催に “理解”も…「地獄の門が開いた感じ」

五輪開幕から感染者数は一度も減らず…

祭典の行方はいかに――。7月23日に開幕した東京五輪も約半分の日程が終了。ここまで史上最多となる17個の金メダルを獲得するなど大躍進を見せているが、東京都は1日、新型コロナウイルス新規感染者数は3058人と発表した。一部からは五輪打ち切りを求める声も聞かれる中、医療専門家はどのような見解を示しているのか。

東京都の新規感染者は5日連続で3000人を超えるなど、全国各地で右肩上がりの増加。しかし、ナビタスクリニックの理事長で感染症に詳しい久住英二医師は「(東京都で)3000人を超えたとか言っていますけど、3000人どころの話ではないと思ってますよ」と分析する。

いったい、どういうことか? 久住医師は「うちの新宿のクリニックは、この4連休(7月22~25日)の間に100人以上のコロナの人を診断して保健所に報告しているが、陽性率が約75%なんですよ。4人検査したら3人が陽性。だから検査を受けられていない人がいっぱいいるということ」と明かした。

まさに驚きの陽性率。定期的に検査を行う五輪関係者に陽性者が出るのは当然のことと言える。久住医師は「東京都の人口は約1400万人いるから、五輪関係者と同じぐらいの勢いで都民にPCR検査をやったら3000人じゃ済まない。何、寝ぼけたこと言ってるんですかっていう話ですね」と苦言を呈した。

だからこそ、五輪関係者だけを袋だたきにするのは筋違いだという。「見えているものが実際の実像ではない。蜃気楼(しんきろう)を見ているってこと。五輪関係者に検査をする勢いで都民も検査して、五輪関係者だけが特に感染率が高いのであれば問題だが、一般の人たちが検査してないからどれぐらいいるのか分からない。検査を積極的にした人たちの感染がバレただけで、何でそんなにいじめにかかっているのかっていう話ですよね。原宿辺りをうろちょろしている若い連中は感染していても検査を受けないですから」と疑問を投げかけた。

とはいえ、コロナの流行が広がっているのは紛れもない事実。五輪の開催については「冬のインフルエンザシーズンだって(冬季)五輪を開催しているので、開催したって構わないと思う」との考えを示した一方で「本当に感染のコントロールができないという状況になったという点に関しては、割と地獄の門が開いた感じはする」と不安も口にした。

だからこそ、早急な対応が必要になってくる。「20~30代の人たちは感染してもほとんど死ぬことはない。死ぬ人が出るのはインフルエンザだって同じなので、20~30代の人たちがかかる分には仕方ない。むしろ感染すると重症化して死んでしまう人たちにいかにワクチンを打っていくかが大事」と訴えた。

政府側はかねて〝ワクチン神話〟を貫いてきたが、地方へのワクチン供給が滞っているのが現状。このままでは最悪な事態を迎えてしまうかもしれない。

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