【東京五輪】ベラルーシ選手が帰国拒否で亡命希望も…「家族への弾圧を恐れている」

羽田空港の警察官に事情を説明するツィマノウスカヤ(ロイター)

東京五輪陸上女子200メートル予選に出場予定だったベラルーシ代表のクリスツィナ・ツィマノウスカヤ(24)が1日に帰国を拒否し、亡命を求めた問題で大きな波紋が広がっている。

ツィマノウスカヤは女子1600メートルリレー出場メンバーについてSNSでコーチ陣を批判したため、チームから除外。さらに母国への帰還を指示されたという。ただツィマノウスカヤは羽田空港で帰国を拒否し、日本の警察に保護を求めるとともに、オーストリアへの亡命を希望した。

英「BBC」など各欧州メディアは「チェコ共とポーランドを含むいくつかの国は、彼女にビザと保護を提供する準備ができている」と伝えている中、自国アスリートを支援するベラルーシスポーツ連体財団(BSSF)のアナトール・コウタ氏は同メディアに「彼女は現在、安全あり、警察の保護下にある」と説明した。

BSSFは、2020年8月に設立されたベラルーシのアスリートを支援する団体。特に同国では、強権支配を続けるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が民主化運動を弾圧。昨年の大統領選に抗議したアスリートの中には、代表チームから追放、さらに拘留された全国レベルの選手もいたという。

国際オリンピック委員会(IOC)は報道を踏まえて「状況を調査し、ベラルーシオリンピック委員会に説明を求めている」と説明。同委員会の会長は大統領の長男ビクトル氏が務めているが、コウタ氏は「彼女はベラルーシでの家族への弾圧を恐れている。これが今の彼女の主な関心事だ」と語っており、先行きを懸念していた。

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