ネットやゲーム依存に悩む子どもたち 日常忘れ共同生活 諫早 わら草履作りや野外炊飯に挑戦

わら草履作りを教わる参加者=国立諫早青少年自然の家

 インターネットやゲームへの「依存」に悩む子どもたちが、諫早市白木峰町の国立諫早青少年自然の家で4泊5日の共同生活を送り、依存状態から抜け出す方法を考えた。
 同市のNPO法人「ターミナル学習室」(岩永和也代表)が、子どもの「学び残し」を解消しようと、無料で続けている学習支援の一環で初めて企画。夜遅くまでネットやゲームにのめり込み、学校の授業が頭に入らないなどの傾向がある小中学生8人が参加した。
 たとえば、小学5年の女児は、会員制交流サイト(SNS)などでの悪質ないじめに悩んでいる。自分についての書き込みがないか常に気になり、スマホを片時も手放せない。
 中学1年の男子生徒は「バトル系ゲーム依存」。時折、現実と仮想世界の区別が付かず、凶暴な言動を自制できなくなることがあるのだという。
 合宿は、こうした子どもたちがネットやゲームのある環境から距離を置き、協調性やコミュニケーション力を高め、「依存状態」から抜け出す方法を考えるのが目的。趣旨に賛同する市内の企業や団体が協力し、各家庭にも環境改善に取り組んでもらった。
 7月下旬の4日間の合宿中、子どもたちは座禅やわら草履作り、野外炊飯などに挑戦。わら草履作りは稲わらをより合わせて縄をなうところから始め、普段より集中して取り組んだ。野外炊飯ではみんなで協力してまき割り。焼きそばを作り上げると、ようやく笑顔を見せていた。
 岩永代表(57)によると、家庭の経済状況が厳しくなるほど、子どもたちの依存度が高くなる傾向があるという。「経済格差の連鎖を断ち切るには教育しかない。将来の可能性を広げるためにも、一瞬でもネットやゲームのことを忘れてもらえたら」と話した。

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