【宮日紙面診断】県発明協会常務理事兼事務局長・冨山幸子 幸福度への貢献期待

 「国文祭・芸文祭みやざき2020」が3日、開幕した。107日間にわたり、県内全市町村で136事業を展開。本県特有の文化・芸術を全国発信する。開幕に合わせ、本紙は魅力的な企画・発信を繰り広げ、読者の関心を高めた。国文祭・芸文祭を共に盛り上げようとする意気込みが感じられ、頼もしく思う。
 中でも印象的だったのは、県実行委企画会議会長を務める伊藤一彦さんへのインタビュー(2日)。「本県は地域それぞれにエネルギーがある」「多彩な文化に触れながら宮崎の“縦の時間”を旅しよう」「つながりを大切にする宮崎の良さはより見直されるはず」など、深く力強いエールが発せられていた。
 「この国文祭は、県民自らが地域の文化・自然を見直し、誇りと自信を再確認する絶好の機会である」。本紙の取材、論調は、このことを訴え掛けているようであり、共感を覚えた。10月17日までの開催期間中、本紙には、国文祭・芸文祭を通じて本県の魅力を次々と発信し、読者に新たな気づきを与えてもらいたい。
 幸福度調査をご存じだろうか。昨年まで2年連続で本県が全国1位となったあの調査である。先日、調査を企画実施したブランド総合研究所(東京)の田中社長と話す機会を得た。社長いわく、「宮崎県は今年2位となったが、幸福度の高さに変わりはない。幸福度の高い人はSDGs(持続可能な開発目標)に取り組んでいる割合が高い。宮崎県は認知度や取り組みなどSDGs先進県に位置している」。
 本県でのSDGs認知度はこの2年間で飛躍的に高まったそうだ。そのデータを見て、すぐに本紙が大きく貢献しているであろうことが脳裏に浮かんだ。
 昨年の「宮日SDGs宣言」に始まり、特集記事や県内各地での動きを、SDGsマークを付して毎日発信し続けている。教育現場、企業、地域、NPO、自治体などに日々活動が波及し、浸透している。10日の「窓」で目にした「利他の実践が幸せな人生をつくる」との言葉。幸福度とSDGsの関係を考える上で、その本質を突いており、深く心に染みた。
 梅雨の終わりの豪雨。本紙から猛威が伝わってきた。昨年は九州豪雨、今年も熱海土石流(4日)、えびの大雨(11日)、3年前の西日本豪雨では今も千人が仮設住宅などの仮住まいと知り胸が痛む。気候変動に関心が寄せられている。
 脱炭素に向けた国などの動きも活発化してきた。日銀の気候変動対策促進策(17日)、環境省の新交付金による地域支援策(21日)、政府の新たな地球温暖化対策計画原案(26日)など。本紙には、加速する脱炭素への潮流と共に、経済社会システムへのインパクト、イノベーション、そしてSDGsの取り組みを、関連させながら、強力に報道いただきたい。
 県民の幸福度への一層の貢献を期待している。(7月の紙面から)

 とみやま・さちこ 神奈川県出身。県工業技術センター所長や県産業振興機構常務理事などを務め21年6月から現職。宮崎市。64歳。

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