【新型コロナ】東京都医師会長「中等症は人生でもっとも苦しい」感染予防訴え

 東京都医師会の尾﨑治夫会長が2日、民放のテレビ番組に出演し、東京都の感染爆発の状況について、一般の人と医療従事者の疾患に対する意識の違いを引き合いに出しつつ「中等症はおそらくほとんどの人にとって人生で一番苦しいもの」と指摘、危機感を持って感染予防を徹底するよう求めた。

「大量の酸素投入が必要な患者が増えている」

 番組ではまず新型コロナウイルス感染症に対する、一般の人と医療従事者の意識のズレを指摘した日本人医師のSNS投稿が話題になっていることを取り上げ、尾﨑会長にコメントを求めた。尾﨑会長は「中等症で人工呼吸器を装着せず、鼻から大量に酸素を吸入できる療法(当メディア既報のネーザルハイフロー療法と思われる)を受けている人が増えている。『重症者』が少ないから大丈夫だというのは間違い」と指摘し、このSNS投稿に対しては「この通りで、中等症といっても、ほとんどの人にとっては人生で一番苦しいもの」だと指摘し、危機感を持って感染予防を徹底するよう呼びかけた。

「遺伝子検査で重症化リスクが分かる、その上で治療薬を」

 また尾﨑会長は、政府が、先日承認されたいわゆる「抗体カクテル療法」を行える治療薬を、入院患者に処方する方針であることに疑問を呈した。理由として、この治療薬自体の臨床試験で確認された効能が「入院ないし死亡リスクを70%下げる」ものであることを指摘。すでに入院した(中等症以上の)患者に対して投与しても効果は薄いのではないかと疑問を呈し、日本の研究グループが、遺伝子検査で重症化リスクの高い因子をすでに同定していることに触れ「遺伝子検査でリスクが分かるので、まず検査をやってリスクの高い人に投与するといったことが必要ではないか」と述べた。

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