【体操】村上茉愛「床」で快挙の銅メダル「自分に金メダルをあげたい」

種目別「床」で銅メダルを獲得した村上茉愛

執念でつかみ取った。東京五輪の体操・女子種目別「床」の決勝が2日、有明体操競技場で行われ、村上茉愛(24=日体クラブ)が14・166点をマーク。ビクトリア・リストゥノワ(ROC)と同点で銅メダルを獲得し、悲願の表彰台に立った。体操女子のメダルは1964年東京大会の団体銅メダル以来で、個人では日本女子初の快挙となった。なお、金メダルはジェード・キャリー(米国)、銀メダルはバネッサ・フェラーリ(イタリア)。

ずっと追い求めて来た五輪のメダル。万感の思いを胸にポディウム(演技台)に立った。ラスト演技は最も得意な床。冒頭で繰り出したのは小学6年で成功させたH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)。体に染みついた大技をつつがなく決め、着地も止めた。その後も曲調に合わせて華麗に演じきり、笑顔でフィニッシュ。メダルが確定すると少し涙を見せたが、すぐに笑った。

試合後、村上は「この1分半が終わってほしくないなってくらい楽しかった」と回想。4歳から体操を始め、五輪を夢見てきた。ここ数年は苦難の連続だった。19年は腰の故障によって世界選手権代表から漏れ、20年は新型コロナウイルス禍が直撃。一時は体操を辞めたいと思ったが「続けてきて良かった」としみじみ語った。

ずっと金メダルを目指してきたが、首にかかるのは銅。「重いですね」と言ってメダルを眺めた村上は「体操人生の中で一番いい演技だった。勝手に自分に金メダルをあげたいと思っています」と過去一番の自己採点をつけた。

かねて集大成と位置づけ、東京大会を最後に引退の意向を示した時期もあった。村上は「実際に試合が終わってみないと自分の本音は分からないと思っていた。もうちょっと落ち着いた時に答えが見つかるんじゃないかと思う」と話した。

日本女子初の快挙達成には「歴史を塗り替える人になれて光栄です」とニッコリ。味わった苦難の分だけ、その表情は輝いていた。

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