「ブリティッシュ路線でも我が道を行った大滝詠一」ナイアガラVOL.2の"斜めな聴き方"を松崎真人が御託

ナイアガラの歌姫だった須藤薫

この番組をラジコで聴く

シンガーソングライターの松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。北海道も観測史上最高気温を更新する地点が続出した7月31日。こんな真夏の暑い日、選曲も夏をイメージ、テーマにした曲がおのずと多くなりました。(文中敬称略)

松崎:ナイアガラト・ライアングルVOL.2から…。

M06「夢みる渚/杉真理」

松崎:大滝詠一と佐野元春、杉真理の3人で「ナイアガラト・ライアングルVOL.2」ですが、VOL.1は大滝と伊藤銀次、山下達郎でした。大滝詠一によると、結果的にVOL.1はアメリカン・ポップミュージックの匂いをさせていたので、VOL.2はビリティッシュの香りをさせたいなと思っていたところで佐野元春と杉真理に出会った、と語っていました。2人とも、ビートルズ的なイディオムを持っている方ですから、バッチリだったんじゃないかと思います。

松崎:そういう割りには、大滝個人の曲は、我が道を行っているんですけどね…。この「夢みる渚」の歌詞の「♪Dreaming on the beach」と「♪きみの髪」は母音で韻を踏んでいて、気持ちいいなと最初に聴いた時から思っていて「韻を踏むって言うのは、こういうことか」と思った曲のひとつです。(編者註:ドリー ミング オン ザ ビーチ ⇒きみのかみ 発音上の母音が同じ)。

松崎:その杉真理が須藤薫に提供した曲です。

M07「恋のビーチ・ドライバー/須藤薫」

松崎:アレンジは松任谷正隆ですが、コーラスアレンジは恐らく杉真理自身がやっていると思います。作詞が意外と伊達歩、つまり伊集院静です。(須藤薫は)ナイアガラの歌姫としては太田裕美に匹敵する、大滝サウンドに馴染むオールディズなテイストを持ったジャパニーズ・ポップス・シンガーでしたね。若くしてお亡くなりになったのは本当に惜しいです(2013年没。享年58)。

タイトルは「ふりかけ」から©STVラジオ

M24「Tarako/SOUTHERN ALL STARS」

松崎:1984年の曲です。「Tarako」というのは全然、意味ないらしいです。レコーディングで海外が長くなるので、日本食を持って行こうと、ふりかけを何種類か持って行って、そのひとつが「たらこ味」で、目についた「たらこ」という単語から曲のタイトルを決めたという逸話が残っています。

松崎:並行世界で、もしこの時サザンがアメリカに行って帰ってこなかったら、僕らは全然違う日本語ポップスの歴史を生きなければならかったわけですね。この後に(サザンは)ダリル・ホールと一緒にレコーディングするんだよね。でもそれは、正式発売じゃなくて、コカ・コーラかなんかのノベルティで当たる音(CD)だったんだよね。なので僕も手元に持っていません。誰がお持ちの方がいたらSTVラジオに寄付して下さい(笑)。

今回は、海や渚やビーチなどなど、夏らしい曲の♪ヒッパレ~でした。編者的には、M18「ハンダースの想い出の渚/ザ・ハンダース」、クオリティの高いよく出来た曲だなと思います。リアルタイムで聴いていた世代的にも。…盛夏はまだ続きます。

<松崎真人の編集後記>
「Tarako/SOUTHERN ALL STARS」LA録音。当時の桑田さんはアメリカ進出を虎視眈々と狙っていた。KUWATA BANDによる洋楽カバーを多数収録したアルバム「NIPPON NO ROCK BAND」、この「Tarako」、そしてソロとしてホール&オーツとの共演。だが1984年は時期が早かったのかも知れない。桑田さんやサザンの音楽が「日本語のままで」海を渡って多くの人の耳にとどくのはこれから。(松崎真人)

<7月31日のプレイリスト>
M01「サクセス/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」
M02「プレイバックpart2/山口百恵」
M03「ぼくがつくった愛のうた(いとしのEmily)/チューリップ」
M04「潮の香り/オフコース」
M05「潮風にちぎれて/松任谷由実」
M06「夢みる渚/杉真理」
M07「恋のビーチ・ドライバー/須藤薫」
M08「ちっちゃな恋人/ジミー・オズモンド」
M09「キラメキ☆MMM BOP/ハンソン」
M10「時間よ止まれ/矢沢永吉」

M11「ワイルド・ハーツ -冒険者たち-/佐野元春」
M12「冒険者たち/Do As Infinity」
M13「sailing day/BUMP OF CHICKEN」
M14「冒険者たちのバラード/すぎうらよしひろ」
M15「星の砂/小柳ルミ子」
M16「サマー・ラブ/尾崎紀世彦」
M17「夜をぶっとばせ/オックス」
M18「ハンダースの想い出の渚/ザ・ハンダース」
M19「Yeah! めっちゃホリディ/松浦亜弥」
M20「サマーナイトタウン/モーニング娘。」
M21「ビーチタイム/TUBE」

M22「SUMMER TOUR/RCサクセション」
M23「Summer In The City/THE LOVIN’SPOONFUL」
M24「Tarako/SOUTHERN ALL STARS」
M25「ブルーラグーン/高中正義」
M26「島国DNA/打首獄門同好会」
M27「ロックンロールに絆されて/KAN Duetwith 馬場俊英」
M28「Believe Again/浅香唯」
M29「【es】~Theme of es~/Mr.Children」
M30「笑顔のまんま/BEGIN」

8月3日は山下達郎+吉田美奈子「描く風景からフォーク的情緒を切り離した」

3日は山下達郎+吉田美奈子を特集

『MUSIC☆J』は、7/23~8/6の火~金、『ナイタースペシャル MUSIC☆J』として、RCCラジオと同時ネットで、夏の特別プログラムをお送りしています。テーマは「日本語ロックの8人」。8月3日(火)は、山下達郎+吉田美奈子の特集。松崎真人の視点は「描く風景からフォーク的情緒を切り離した」です。

スタッフはこの「ナータースペシャル」の期間、毎日のようにSTVラジオ地下のレコード室に潜入し、日本語ロックの歴史を刻んできたレコードを探索しています。松崎真人が手にしているのは、吉田美奈子のデビューアルバム。このような特集でないと、なかなかお掛けする機会もないアナログLPレコードの「音」も、お楽しみ下さい。

水曜日以降のラインナップはご覧の通り。ビッグネームが並びます。

<8/4 (水)>桑田佳祐「たかが歌詞じゃねえかこんなもん」は反語である。
<8/5 (木)>忌野清志郎〜ザ・ブルーハーツ「パンク〜ニューウェーブを通過して得たもの」
<8/6 (金)>桜井和寿と草野正宗〜現在へ(1999以来進化は止まったのか?)

特集のアーティストにまつわる思い出やエピソードも含め、リクエストもお待ちしています。もちろん、特集に限らず、日本の曲・日本語の曲へのリクエストもお送り下さい。 mj@stv.jp

STVラジオ『ナイタースペシャル MUSIC☆J ~日本語ロックの8人~』(7月27・28・29・30日、8月3・4・5・6日 各17:55~20:50)※RCCラジオ同時ネット

プレミアム会員登録をして全国のラジオを聴く!

プレミアム会員登録はこちら

MUSIC☆J

放送局:STVラジオ

放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター・選曲家(北海道出身)

番組ホームページ

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

この番組をラジコで聴く

※放送情報は変更となる場合があります。

© 株式会社radiko