【五輪取材班便り】東京五輪も折り返しを過ぎ、あっという間に8日の閉会式を迎えそうな勢いだ。メダリストに注目が集まる一方で、表彰台に立てなかった選手も〝快挙〟を達成している。陸上男子100メートル準決勝(1日)では蘇炳添(31=中国)が自身の持つアジア記録を更新する9秒83をマーク。アジア人として89年ぶりにファイナリストとなった。その決勝は6着ながら、9秒98で走った。
中国では「蘇神」というニックネームで親しまれ、すでに国民的スポーツ選手の地位を確立している。その中国が誇るスプリンターは、日本の人気コミック「ドラゴンボール」の大ファンで、SNSのアイコンは同作の主人公・孫悟空の画像にしているとの情報を取材でキャッチした。「異次元の世界の人々」と感じていたアスリートとの距離が急に縮んだような気がして、少しうれしくなった。