入院被爆者1425人 前年度より134人減 平均82.7歳 長崎原爆病院

診療概況について発表する谷口院長(左)ら=長崎市茂里町、日赤長崎原爆病院

 日赤長崎原爆病院(谷口英樹院長)は2日、2020年度の入院被爆者は前年度より134人少ない1425人で、入院患者全体の18.3%を占めたと発表した。被爆患者の占める割合は近年減少傾向にあり、平均年齢は82.7歳だった。
 入院した被爆者の疾患で最も多かったのは、悪性新生物(がん)で、545人に上り38.2%を占めた。がんの分類では、肺がんが129例で最も多く、悪性リンパ腫(63例)、骨髄異形成症候群(50例)、大腸がん(47例)と続いた。
 外来受診者では、全外来患者に占める被爆者の割合は17.6%で、入院患者と同じく減少傾向にある。一方、被爆2世は全体の20.4%を占めた。被爆2世も高齢化し、近年受診する機会が増えているという。
 また新型コロナウイルス感染拡大により、昨年度は県外での被爆者や被爆2世の健診、国外での在外被爆者支援事業などを中止したことも報告した。谷口院長は会見で「昨年度はコロナの影響もあって、傾向の分析が難しい1年だった」と述べた。
 日赤長崎原爆諫早病院も同日、被爆診療の概況を発表。20年度の入院被爆者数は前年度より43人少ない227人で、患者全体の13.4%を占めた。

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