<金口木舌>税金とサンマデモクラシー

 確定申告をする自営業者は、自分がどれだけ納税しているか敏感だ。一方、サラリーマンは月々の給与明細で気になるのは手取りのみで、毎月どれだけ税金が引かれているか、あまり意識していないのでは

▼健康保険料や年金などの負担率が、所得に対して44.3%と聞くと、税金に関心の薄い人でも心穏やかではいられない。過去最高だった昨年より1.8ポイント減少したものの、1970年以降、歴代3位タイの高水準となっている

▼自営業は、交際費や交通費などを経費に計上し節税対策ができる。会社員も背広代など、確定申告すれば控除が可能。しかし煩雑な手続きが必要で、申告する人は多くない

▼魚の卸売業をしていた糸満出身の玉城ウシさんは、売り上げから容赦なく税金をさっ引く米軍を許さなかった。桜坂劇場で上映中の映画「サンマデモクラシー」はウシさんの闘いを描く

▼復帰前、米国民政府が課税品目ではなかった輸入サンマにも課税していたことに、ウシさんは異議を唱え、裁判となる。圧政にあらがう姿は、声を上げることで社会を変えられる、という勇気を与える

▼庶民はつつましく暮らしているのに、国民1人当たりの借金は今や約970万円。世のサラリーマンよ。税の使い道を左右する政治に目を光らせよう。日銭に泣き笑いする暮らしの場から闘いを挑んだウシさんに学ぶことは多い。

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