スクープ!石井慧がK―1参戦 柔道と対極の舞台でも勝算「打撃はミルコ・クロコップ直伝」

石井慧(右)と中村拓己プロデューサー(提供写真)

総合格闘家の石井慧(34)が立ち技格闘技「K―1」に参戦することが、3日までに本紙の取材で明らかになった。初戦は9月20日の神奈川・横浜アリーナ大会となる。4日のK―1会見で、石井の参戦とその対戦相手が発表される見込み。北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストは初めてのキックルールでどのような戦いを見せるのか、注目が集まる。

〝予想だにしない〟とはまさにこのことだろう。現在はMMA(総合格闘技)ファイターとはいえ、石井のバックボーンは言わずと知れた柔道で、キックとはかけ離れたスタイルの出身だ。東京五輪の柔道競技でも本紙で解説し、注目を集めたばかりだった。

そんなキャリアの対極とも言えるリングに上がる。石井は直撃取材にK―1参戦を認めた上で「世界では〝立ち技イコールK―1〟、〝K―1イコール立ち技〟という認識だと思います。そのK―1のリングに立てるのは本当に光栄です。頑張ります」とコメントした。

石井とK―1が〝急接近〟したのは、今年3月22日に日本武道館で行われた年間最大イベント「K’FESTA.4」がきっかけだ。このころ、K―1の中村拓己プロデューサーと会談も行っており、以降徐々に交渉を重ねたものと思われる。

それを物語るかのように、石井は自身のSNSでK―1のTシャツを着用した姿を公開している。K―1関係者は「もともと僕らとしては(石井の参戦は)想像もしていなかったんです。それが石井選手のトレーニングを見ている方から〝立ち技をやりたくて、興味がある〟とコンタクトしていただき、話がまとまりました」と明かす。

石井は現在クロアチアを拠点にしているが、昨年末から今年5月まで日本に滞在。昨年5月に手術を行った首を治療しつつ、日本で立ち技やグラップリング(組み技)の強化を行っていた。その際にはK―1選手との練習をたびたび敢行。日本人初のK―1重量級王者で、2011年にボクシングへ転向しヘビー級で日本王座、OPBF東洋太平洋王座、WBOアジアパシフィック王座を獲得した京太郎とも拳をかわしている。

そもそも石井がクロアチアに拠点を移したのは17年2月で、ミルコ・クロコップの下で練習を行うためだ。現在はMMAのイメージが強いミルコだが、もともと立ち技出身でK―1を主戦場にしており、13年には「K―1 WORLD GP」で優勝を果たした。そのミルコ仕込みの打撃を操る石井に、注目が集まりそうだ。

K―1は4日に横浜大会の第2弾カード発表会見を行う。ここで石井の参戦とともに、対戦相手が発表される見込みだ。体重が100キロを超える石井はMMAではヘビー級を主戦場とするが、K―1ではスーパーヘビー級に属することになる。東京五輪の真っただ中、柔道金メダリストの新たな挑戦に期待が高まる。

© 株式会社東京スポーツ新聞社