武田修宏氏が指摘するスペイン戦の敗因「準決勝が限界だったのかもしれない」

上田綺世(右)をねぎらう吉田麻也

【武田修宏Take it easy】森保ジャパンは東京五輪の準決勝で、あと一歩のところまでスペインを追い込んだ。勝って歴史をつくってほしかったけど、よくやったと言ってもいい。

それでも勝てなかったのは事実。90分で攻撃の中心を担うMF堂安とMF久保を一気に下げて延長開始からMF三好康児(アントワープ)とFW前田大然(横浜M)を投入し、そこを敗因に挙げる声もあるようだけど、森保監督には点を取るための意図があったはず。見ていてスペインの疲労は明らかだったし、スピードのある前田に裏への抜け出しを狙わせ、三好にはドリブルなど縦への突破力を生かしてほしいと考えていたと思う。

結果的に負けてしまって、そんな指摘があるのは仕方ないけど、たとえ2人を交代させなかったとしても同じことだったんじゃないかな。それほど決勝点のマルコ・アセンシオやMFペドリ(バルセロナ)らA代表経験者を擁するスペインとの差があったということだよ。

では、何が足りなかったのか。FW林大地(鳥栖)らはよく頑張ったけど、エースストライカーがいなかった。久保と堂安は中盤の選手でストライカーではないからね。オーバーエージ(OA)でFW大迫勇也(ブレーメン)を呼んだとしたら、守備的選手で固めた今回のOA3人の誰かを外す必要がある。だとしたら4強入りはなかった可能性もあるし、やはりエースストライカーがいないチームでは、ここが限界だったのかもしれない。

でも、メキシコとの3位決定戦が残っている。勝ってなんとしても銅メダルを勝ち取ってもらいたい。(元日本代表MF)

© 株式会社東京スポーツ新聞社