侍ジャパン、韓国撃破へ4つのカギは? 「先発」「継投」「四球」「泥臭さ」

韓国代表と対戦する野球日本代表「侍ジャパン」【写真:Getty Images】

飯田哲也氏は日韓戦のポイントに「先発の出来」と「継投」を挙げる

■日本 ー 韓国(4日・準決勝・横浜)

東京五輪に出場している野球日本代表「侍ジャパン」は4日、準決勝で韓国と対戦する。勝てば決勝進出と銀メダル以上が確定する一戦。ヤクルトなどで活躍し、ヤクルト、ソフトバンクでコーチも務めた野球評論家の飯田哲也氏は日韓戦の勝負のポイントに「先発の出来」と「継投」を挙げた。

2日に行われた米国との準々決勝では終盤までリードを奪われながらも、9回に追いつき、延長タイブレークの末にサヨナラ勝ちを飾った侍ジャパン。飯田氏は米国戦の勝負のポイントとして「タイブレークの10回に栗林君が投げられたのが結果的に大きかった。勝ちパターンのピッチャーをつぎ込みたいところを我慢できた稲葉監督の強さを感じました」と指摘する。

5回表に3点のリードを奪われた侍ジャパンだったが、その裏すぐに2点を返して1点差に詰め寄った。ここから6、7回を千賀滉大投手(ソフトバンク)、8回を山崎康晃投手(DeNA)、9回を大野雄大投手(中日)が無失点で繋ぎ、1点差で凌ぎ続けた。セットアッパーの平良海馬投手(西武)、抑えの栗林良吏投手(広島)を使わず延長に残しておけたことが、10回裏のサヨナラ勝ちに繋がった。

先発の山本へ期待「山本君ならやってくれるんじゃないかなと思います」

メダルのかかる準決勝も投手陣の踏ん張りが鍵を握ると飯田氏は言う。米国戦で12安打で7得点を奪ったように打線は上昇気配で「打線的には問題ないと思う。ポイントは先発の出来でしょう。あとは先発の次の継投。ピンチを摘んでいく投手起用にかかってくるんじゃないかと思います。失点を少なく、無駄な四球を控えれば、勝てると思います」と展望する。

侍ジャパンの先発には初戦のドミニカ共和国戦で先発した山本由伸投手が上がる。重圧のかかる開幕戦を6回無失点に封じており、そこから中6日での登板となる。飯田氏は「次投げたら、決勝はおそらく投げられないでしょうから、行けるところまでいって、最少失点で終盤に持っていくという形になるのがいいと思います。山本君ならスパッとやってくれるんじゃないかなと思います」と期待を寄せ、継投に関しても「駄目だと思ったらワンアウト取れずにでも替えてもいいかもしれない。どんどんいっていいと思います」と語った。

攻撃面においても、米国戦で良い形が見えていたと言う。飯田氏が高く評価したのは、点を取られた直後に取り返したこと。3回に逆転を許したものの、その裏に追いつき、勝ち越された4回も裏に2点を返しており「点を取られた後にすぐに1点でも2点でも取れてるのが良かった。相手に与えるプレッシャーが全然違います。米国としては6-3になったところで『よしいける』となったと思います。直後に2点取られたことで『日本やるな』みたいな、精神的に何か追い詰められてる感じはしたんじゃないですかね。逃げている方が精神的に辛く、追いかけている方が有利だと思います」と分析した。

国際舞台で大事になる「点を取れる時に何でもいいから取る」

これを可能にしたのが「四球」と「泥臭い点の取り方」だと飯田氏は見る。侍ジャパンは米国戦で6つの四球を選び、その多くが得点に繋がった。1点ビハインドの9回、土壇場での同点も、起点は鈴木誠也外野手(広島)が選んだ四球だった。

「なかなか国際試合で連打は難しいと思うので、1つの四球とかエラーとかをキッカケにして点を取ることが大事。日本としては乗っていけるし、相手にとってはダメージが大きい。精神的な部分が国際舞台っていうのは大きいですし、四球が失点に絡むのは野球の常。それは高校野球でもプロでも変わりません」と飯田氏は言う。

そして、侍ジャパンはこの試合、内野安打で2得点を奪い、内野ゴロの間に同点に追いついており「ヒットじゃなくても、泥臭く、点を取れる時に何でもいいから取る。ボテボテでも1点を取れるっていう、地味だけど相手をガッカリさせるような点の取り方はやっぱり大きい。点の取り合いなんすよ、野球って。ホームランで1点取ろうが、内野ゴロで1点取ろうが1点は1点なんです」と飯田氏。韓国戦でも、四球で繋いでチャンスを作り、泥臭く点を取りにいく必要があると見ている。

意地と意地のぶつかり合いとなる日韓戦。飯田氏も「執念というか、日韓戦というとサッカーにしても野球にしても、韓国側の日本には負けないぞっていう気持ちの強さを感じます。日本もその気迫に負けない気持ちが大事。とにかく試合に勝つことだけを考えてやればいいと思います」と見る。勝てば銀メダル以上が決まる日韓戦。決戦は19時試合開始だ。(Full-Count編集部)

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