文化観光促進へ 県が意見交換 世界遺産有する地域周遊で経済波及を

地域を周遊させる文化観光について意見交換した協議会=県庁

 長崎県の多様な文化資源を生かした観光促進に向け、自治体や文化施設、観光団体、経済団体の関係者らによる県文化観光推進協議会が3日、県庁で開かれた。世界遺産の構成資産がある地域を周遊し、経済効果を広く波及させる取り組みについて意見交換した。
 県は文化観光推進法に基づき「キリシタン文化をはじめとした海外交流史による学びと感動」をテーマにした5カ年計画を策定。5月に文化庁に認定された。本年度は国の補助金を活用し、県美術館や長崎歴史文化博物館の公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」整備や展示解説の多言語化などに着手する。
 協議会にはオンラインも含め、自治体や施設関係者ら18人が出席した。県の担当者は、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する教会や集落などが各地に点在し「一見して価値が分かりにくい」と課題を説明。歴史の全体像を把握できる拠点整備や複数施設を周遊させる方策などを示した。
 委員からは施設間を結ぶ交通の充実や施設のバリアフリー化を求める声が相次いだほか、「地域ごとのストーリーをどういう風につないでいくのか見えにくい」「浦上地区と長崎原爆は切っても切り離せない。一緒に発信していくべき」との意見も出た。
 会長の中崎謙司県文化観光国際部長は「コロナで観光客の価値観が変わり、その土地でしか得られない感動体験が求められている。本県の強みである歴史や文化を顕在化させ、発信していきたい」と述べた。

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