公園直下に巨大空間 八代市に熊本県内初の雨水地下調整池 冠水被害軽減、避難の時間も

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地下にコンクリート造りの巨大空間が広がる北部中央雨水調整池=八代市

 熊本県八代市は、大雨が降った際に一時的に雨水をためる調整池を、田中西町の北部中央公園の地下に整備し、7月に供用を開始した。市によると、地下調整池を造ったのは県内では初めて。25メートルプール16杯分もの雨水をためることができる。

 地上は一見、周囲に木が植えられた砂地の公園。ただ、地下へと続く通路を進むと、その先にコンクリート造りの巨大な空間が広がっていた。25本の柱が林立し、まるで神殿のよう。地上の蒸し暑さとは打って変わり、ひんやりとしている。

 調整池は縦横39メートル、高さ6・1メートルで、容量は7100立方メートル。一帯約46ヘクタールに降った雨水が流れ込む排水路の水位が一定の高さに達すると、調整池とつながる地下水路のゲートが自動的に開いて水を取り込む。たまった雨水は、小康状態となった後、毎分10トンをポンプで吸い上げて排水路に戻す。

 一帯では、大雨が降ると排水路の水位が上がって水はけが悪くなり、たびたび道路が冠水。住民からの要望もあり、市は2018年11月から約20億円かけて調整池を整備した。「冠水被害を軽減するだけでなく、避難の時間も確保できる」と市下水道建設課の涌田直美課長(55)。

 地下に整備したのは理由がある。市は排水路を流れてきた水をポンプで吸い上げて、川や海に強制排出する排水機場を市内各地に設けている。

 しかし、田中西町一帯は八代海まで約4キロ、前川まで約1・5キロと離れていて、大量の雨が降ると排水能力が追い付かなくなっていた。排水路を拡幅するには時間とコストがかかり、地上に調整池を造るにも、住宅が立ち並ぶ市街地でまとまった土地の確保が難しいため、地下空間を活用することにした。

 同町の吉田惠町内会長(69)は「地下に造るとは面白い発想。これまで梅雨や台風の時に道路が冠水して不自由だった。今後は安心して生活できるので助かる」と喜ぶ。

 5人以上で事前に同課に連絡すれば、見学できる(晴天の平日のみ)。市は今後、同様の調整池を4カ所、公園の地下などに整備する計画だ。(元村彩)