【新型コロナ】自宅療養原則、尾身会長「事前相談なかった」

 4日、政府の新型コロナ対策について議論する衆議院厚生労働委員会の閉会中審査が行われた。先日発表された「自宅療養原則」について相談されたか問われた分科会の尾身茂会長は「この件に関して相談、議論したことはない」と答弁。他の専門家に相談したのか問われた田村憲久厚生労働大臣は「病床のオペレーションの話だ」とあいまいな答弁を行ない、一時紛糾した。

「病床をいかに使うか、というオペレーションの話だ」

 先日政府が発表した自宅療養原則について、早稲田夕季議員(立憲民主党/神奈川4区)が質問し、事前に相談等受けたか尾身氏に問うたところ、尾身氏は「政府とは毎日のように議論しているが、今回の件に関して相談、議論したことはない」と答弁した。これを受けて早稲田議員が田村大臣に他の専門家に事前に相談したのか確認したところ、大臣は質問途中に「病院協会の方や日本医師会に聞いた」と受け取れるような発言を行ったり(実際は方針発表後に会談)、「病院をどう使うかというオペレーションの話なので政府で決めた」と答弁し、方針決定の前に専門家に聞いたか否かという質問に直接答えなかったため、委員会理事が速記を止めるよう求めるなど一時紛糾した。結局委員会の中ではどのような経緯で方針決定されたのか明らかにならず、大臣の答弁姿勢もあいまって不透明さばかりが際立った質疑となった。

「具体的なところは都が決めているところ」

 この前に質問に立った長妻昭議員(立憲民主党/東京7区)も、自宅療養原則について質問。説明不足を質すと、田村大臣は「1週間に2倍にも感染者が増えた。(病床ひっ迫を防ぐための)先手先手の対応だ」と正当性を主張。さらに、長妻氏が続いて宿泊療養施設の拡充の必要性を訴えたことに対しても「準備するのに何週間もかかる」と反論し、長妻議員は「信じられない答弁だ。感染力の強いデルタ株のまん延は数ヶ月前から予測されていた」と激しく反発、「これは人災だ」と糾弾した。

 また長妻氏は、自宅療養か入院かを決める基準について質問。具体的には厚生労働省が公表している「診療の手引き」で提示されている「中等症 I 」の定義に『入院の上慎重に観察』とあるところを変更するのかと聞いたところ、田村大臣は明言せず、現在東京都のモニタリング会議等で具体的な基準は定められていくだろうと答弁。その前の答弁も含め、当事者意識を欠いているかのような答えぶりが目立った。

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