【レスリング】浜口京子が明かす川井友香子の素顔「マットに立つと文科系女子から変身する」

セコンドの赤石光生強化副本部長から日の丸を渡され笑顔の川井友香子

東京五輪のレスリング女子62キロ級決勝(4日、幕張メッセ)で、川井友香子(23=ジャパンビバレッジ)がティニベコワ(キルギス)を下し、2016年リオ五輪63キロ級覇者の姉・梨紗子(26=ジャパンビバレッジ)に続く五輪金メダルを獲得した。姉妹で金は日本初の快挙。川井梨は女子57キロ級で今大会も銀メダル以上を確定させた。所属で姉妹の先輩にあたる、五輪2大会銅メダルで本紙レスリング解説の浜口京子(43)が、独自の視点で姉妹の強さと魅力を紹介した。

【浜口京子 気合でGo!】友香子選手、おめでとうございます。本当に落ち着いて試合をしていました。決勝ではタックルを何度もトライして、がむしゃらに攻めるレスリングではなく、守りを固め、ここで取らなければいけないという要所で、しっかりポイントを取る試合運びで勝利につなげました。構えから防御ができているので、相手はタックルに入れないし、入っても中途半端になる。相手には友香子選手の足は遠かったと思います。第2ピリオドでは相手の中途半端なタックルをうまく利用し、上に乗ってポイントを追加しました。

(ここで父のアニマル浜口氏が乱入!)「組んだ時の相手との距離間が絶妙でしたね。がぶりがうまい。すでに構えで勝っていましたね。腰を落として、四方八方に対応できる体勢をキープしましたよ」

私は友香子選手と、すごく性格が似ていると思うんです。普段はおっとりしていて、闘志も内に秘めるタイプ。スポーツより手芸が好き。私も俳句や絵画、習字が好きで、お互い文科系女子です。でも、マットに立つと豹変して闘志むき出しで爆発する。もう変身のレベルです。文科系女子のほうが、大胆に変身できるのかなと、見ていてすごく共感できました。

川井姉妹と私は、所属が同じ(ジャパンビバレッジ)というご縁があり、特に梨紗子選手とは、お食事を一緒にし、親しくさせてもらっています。とても礼儀正しい選手。リオ五輪で金メダルを獲得後には「京子さんは私たち日本女子の初代五輪メダリストなんです。一緒にメダルの写真を撮らせてください」と言って、私の2個の銅メダルと自分の金メダルの計3個を並べて写真を撮ってくれました。うれしかったですね。

今大会に向け、何かできることはないかと思い、姉妹と友香子選手のセコンドの赤石光生コーチ(日本協会強化副本部長)、梨紗子選手のセコンドの金浜良コーチ、そして姉妹チームの誰か1人のために、五輪の5からくる限定5枚の、私がデザインしたTシャツをプレゼントしました。

梨紗子選手はとても喜んでくれました。赤石コーチは私が初めて世界選手権で優勝した時、金浜コーチは私が五輪で銅メダルを取った時のセコンド。本当に縁を感じます。

4日も友香子選手の決勝前に、梨紗子選手に激励メッセージを送りました。「集中していて、タックルの反応も良く、すばらしいレスリングでした。自信を持って決勝に進んでください。友香子ちゃんにもパワーを送ります」と。梨紗子選手は「ありがとうございます。友香子にも京子さんのパワー、届いています」と返信がありました。私も一緒に戦っている気持ちでした。

友香子選手、金メダル、本当におめでとう。気は優しくて力持ちの世界チャンピオン。友香子選手みたいになりたいという子たちが増えるんじゃないかな。よくやったと褒めてあげたい。

そして、梨紗子選手。あと一つです。今日(5日)、難敵にすべて勝ち、自信を持って挑めると思う。今回も、友香子選手の金、そして梨紗子選手の金とメダル5個を並べて、写真が撮れると思っています。頑張れ!

(アテネ、北京五輪女子72キロ級銅メダリスト)

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