東京五輪を支える ハンドボール国内技術役員 長崎出身の福島亮一さん 「選手に満足してもらえる大会に」

 ハンドボール競技を運営する「国内技術役員」の一人で、今回、その取りまとめ役を担っている福島亮一さん(49)=熊本・大津中教=は長崎市出身。国際競技役員と協力してスコア、タイムキーパーを務め、試合をスムーズに進行させる。「ミスなく、選手たちに“いい大会だった”と満足してもらえるようにしたい」と力を尽くしている。
 日本ハンドボール協会の審判本部長。長崎南高で競技と出合い、熊本大進学後も続けたが、腰を痛めて2年生の途中で選手は断念した。その後、練習試合で審判をしていたのをきっかけに、各種大会で笛を吹くようになった。
 大学時代に審判員の資格を取得。卒業後は熊本県で中学の英語教諭として採用された。審判活動も続けていると、日本協会審判委員会からルールブックや欧州の文献などの翻訳を依頼されるようになった。
 活動の幅が広がって国際審判員の資格も取り、世界学生やアジアレベルの大会でも笛を吹いた。熊本で開かれた1997年男子、2019年女子の世界選手権も、運営や開催国の審判本部長を担当。さまざまな経験が今回の五輪に生きている。
 自国開催の五輪は、自らのスタートからを振り返る機会にもなった。高校時代に指導を受けた長崎県ハンドボール協会の平山一則前会長、大学時代に帰省すると練習会に呼んでくれた瓊浦高の新井善文前監督-。やっぱり古里は「見えないところで支えてくれている土壌」だった。そこから育ててくれた熊本や九州をはじめ、多くの人との縁が重なって今がある。そう実感している。
 五輪の競技日程はあと3日。「ハンドボールと周りの方々に恩返しがしたい」。自らの仕事を全うする。


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