【TOKYO輪舞曲】愛称キキ、歴史の扉開く バスケ女子・林(白鴎大出身)

日本-ベルギー 第4クオーター、試合終了間際に逆転の3点シュートを決める林(左)=さいたまスーパーアリーナ

 「キキ」という愛称には、「危機を救う選手になるように」との意味が込められているという。

 終了間際、逆転の3点シュートをねじ込んだのは林咲希(はやしさき)。バスケットボール日本女子の4強入りは史上初。歴史の扉をその手でこじ開け「勝ったんだ、って。心の底からうれしかった」と言葉を飾らなかった。

 すごい試合だった。その一言だ。震えた。劇的な勝利に何人もが拳を握った。

 83-85で2点を追う残り37秒の攻撃。町田瑠唯(まちだるい)のドライブに対し、アウトサイドで動きを合わせた。マークが一瞬外れ、町田がそれを見逃さない。トップの位置でボールを受け取ったのは林。「練習通り」と振り返るその後の一連の動きが、あまりにも鮮やかだった。

 3点シュートのフェイントに相手がブロックに飛ぶ。それをかわして1歩踏み込み、ステップバックして3点シュート。「入るか、少しオーバーか。入れ!」。残り15.2秒。林の願いはリングを射止めた。

 最後のベルギーのシュートが外れ、試合終了のブザー。信じられないといった感じで両手で顔を覆う。ベンチに戻って何度も跳びはね、勝利の余韻に浸った。

 2日のナイジェリア戦は3点シュートを7本沈めて成功率は驚異の67%。1次リーグ3試合平均15.7得点はチームトップ。当然マークはきつくなり、なかなかいい形でボールがもらえない。それでも「自分の役割を果たすだけ」だった。2点で同点の場面だったが、「あそこでドライブの選択は全くなかった」と自らの武器を信じ抜いた。

 第3クオーター5分で最大13点を追い、第4クオーター開始直後の9点ビハインドからの大逆転劇。愛称通りの活躍でチームを歴史的勝利に導いた。「次も勝ちます」。背番号27の両手から、また歴史はつくられる。

© 株式会社下野新聞社