準絶滅危惧指定の鳥「ミサゴ」 生息状況解明へ 九十九島の会がデータ収集 船上やドローンから抱卵、巣立ちなど観察

調査で確認したミサゴの親子=佐世保市内

 九十九島(長崎県佐世保市)の調査や清掃などを行うボランティアグループ「九十九島の会」は、九十九島でタカの仲間、ミサゴの繁殖調査をしている。本年度最後となる5回目の調査に同行した。
 調査には同会メンバーと、共同で調査を行っている九十九島水族館(海きらら)職員ら6人が参加。6月30日、同館の川久保晶博館長が操縦する調査船で、同市鹿子前町の九十九島パールシーリゾート内マリーナを出発した。
 九十九島の会によると、ミサゴはタカ目ミサゴ科で、環境省は準絶滅危惧に指定している。全長は約60センチ。沿岸部など水域周辺に生息し、魚を捕食する。
 同調査は、同会生物部会が本年度、初めて実施。繁殖の成功率を調べることでミサゴの生息状況を解明し、さらに九十九島の環境への理解を深める狙い。南九十九島では4月初旬ごろに産卵し7月初旬ごろにひなが巣立つため、4月から調査を開始。同じ場所に巣をつくる習性があるため、事前に巣の跡を確認していた10カ所を中心に、船上から抱卵の様子や巣立ち状況を双眼鏡やドローンで調査。八つの島で9個の巣を確認した。
 ミサゴは通常は離れて巣を作るが、南九十九島では、巣が密集していることが分かっている。同会の伊藤一喜会長は「エサとなる魚が多く、無人島で天敵も少ないからだろう」と推察する。

 ポイントとなる八つの島を中心に巡回していると、「居たぞ。あの木の上。あれはひな鳥じゃないか」とメンバーの1人が指さした。船を止め皆が双眼鏡などで姿を探す。
 はるか先に巣と鳥が見えるが肉眼でははっきりと確認できない。よく見つけられたなと驚きつつ望遠レンズでのぞくと、3羽のミサゴがいた。1羽は親で2羽は子だと教えてもらったが、巣立つ直前のため体の大きさは3羽とも同じくらいで、素人目には区別がつかない。私たちに気付いたのかミサゴが警戒の鳴き声を上げたので、エンジンをかけ次の島へ移動した。
 このような調査を各ポイントで行い、場所によってはドローンを使って、上空から巣の中の様子も観察した。
 今回の調査では、9個の巣のうち2個で巣立ち直前のひなの姿を確認した。伊藤会長は「極端な巣立ち時期のずれがなかったので繁殖も同時期だったと考えられる。来年も実施して、より詳細なデータを収集したい」と話した。

ドローンから送られてくるミサゴの巣の上からの映像を確認するメンバーら=佐世保市内

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