SCB第6戦はシボレーの強豪ユーロファーマRCが1-2達成、トヨタのカミーロも今季2勝目を記録

 7月30~8月1日の週末にパラナ州クリティバで開催されたSCBストックカー・ブラジルの第6戦は、公式練習、予選ともに速さを見せたシボレー陣営の強豪ユーロファーマRC勢が席巻。レース1では開幕勝者のリカルド・マウリシオ(シボレー・クルーズ)と、LM-GTEでWEC世界耐久選手権にも参戦中の現選手権リーダー、ダニエル・セラが1-2フィニッシュを達成した。

 一方、そのレース1を不本意な展開で落としたTOYOTA GAZOO Racingブラジル(TGRブラジル)の一角、イピランガ・レーシングのチアゴ・カミーロ(トヨタ・カローラ)は、すぐさま「レース2を獲る」戦略に切り替えニュータイヤを温存。オーバーカットを成功させ、第5戦に続く今季2勝目を手にしている。

 ブラジルでは父の日(8月第2週の日曜)となる8月7~8日に“バック・トゥ・バック”での連続開催が予定される第7戦に向け、ブラジルを代表するモータースポーツの“名家”フィッティパルディ一族からピエトロ・フィッティパルディの参戦がアナウンスされているSCBシリーズ。

 2021年シーズンもハースF1チームのテスト&リザーブドライバーを務める地元ブラジルの世界的スター参戦を前に、同じくクリティバで“インターナショナル・レイアウト”の1戦が争われた。

 そのプラクティスから好調さを維持したのは、開幕を制しながらも直後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、第2戦の休養を余儀なくされたディフェンディングチャンピオンのマウリシオで、シリーズ3冠を誇る男は公式練習最速の手応えを得て予選Q3まで進出すると、2017年から3年連続シリーズ連覇の実績を誇るチームメイトを0.112秒差で降し、今季初のポールポジションを獲得した。

「今季序盤は僕にとって困難な時間になったし、ようやく反撃の機運が高まってきた」と、この時点でランキング13位に留まっていた王者マウリシオ。

「ストックを良く知るファンなら、今季も僕らが強力な体制でシーズンインしたことを理解していたと思うが、第2戦はCOVID-19で欠場(代役参戦のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが優勝)、第3戦ダブルヘッダーも本調子でなく、第5戦は後方スタートを強いられた」と続けるマウリシオ。

「それがここへ来てようやくのポール獲得だ。タイトル防衛の希望は失っていないし、この週末がどうなるか様子を見てみよう」

 その言葉どおり、僚友を従えて日曜午後1時過ぎの決勝レース1に臨んだマウリシオは、義務ピットの際にトップランを譲った以外は盤石のレース運びで30分+1ラップを走り抜き、完璧なポール・トゥ・ウインを達成。23周を走破して2位セラ、3位ガブリエル・カサグランデ(A.マティス-フォーゲル/シボレー・クルーズ)を従え、キャリア通算25勝目を挙げた。

レース1スタートから主導権を握ったリカルド・マウリシオ(シボレー・クルーズ)が、僚友を従えてホールショットを奪う
苦戦の続くトニー・カナーン(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)は、2戦連続の23位に沈む
レース1で10位入賞を果たしたブルーノ・バプティスタ(RCM Motorsport/トヨタ・カローラ)が、レース2のリバースポールを獲得
「多くの問題を抱えたレースの後、この勝利は良い流れの始まり」と、この週末で最多得点を挙げたリカルド・マウリシオ(左)

■レース2では16番手スタートのカミーロが見事な逆転劇

 続いて前戦結果のトップ10リバースグリッドでスタートが切られたレース2は、10位入賞で最前列を得たブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)に対し、トップ10圏外から“ニュータイヤ”を装着した2台が反撃。

 同じく30分+1ラップの21周勝負で上位勢が続々と義務付けのルーティンピットに向かうなか、16番手発進の“予選最速男”ことカミーロのトヨタがラップごとにポジションを挽回する新たなスタイルで上位進出を果たす。

 コース上で最後の最後まで引っ張り、ウインドウの最後で作業へと向かったカミーロは、首位でトラック復帰に成功。同じくトップ10圏外から上位進出を果たしたガエターノ・ディ・マウロ(KTFレーシング/シボレー・クルーズ)を抑え、見事な逆転劇でキャリア通算34勝目を手にした。

「この勝利にとても満足しているし、来週もここで別のレイアウト戦が開催されるのはいいことだね。この週末は精神的に消耗し、チェッカー後はクルマの中で少し感情的になってしまったよ」と、今季2勝目に安堵の表情を浮かべたカミーロ。

「週末を通して公式練習でのクラッシュの問題がつきまとい、予選も機械的なトラブルで12番手に終わった。そしてレース1も4周目に問題が発生し、ギヤボックスに不調を抱えながらの走行になった」と、その窮状を明かしたカミーロ。

「正直に言えば、そこでかなりモチベーションを失ったんだけど、チームは僕を無線で励まし続けてくれたんだ。彼らの助けで、困難な週末を最善の方法で締め括ることができたよ」

 このヒートで4位のリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)や、6位のルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)らに続き8位に入ったセラは「戦略を正しく理解し、チームはいい仕事をしたと思う」と、ランキング2位のカサグランデに対し2点から9点へとマージンを拡大。同ランク3位のセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)と4位ゾンタに続き、勝者カミーロが5位にまで浮上している。

 前述のとおり2週連続開催となるSCB第7戦は、8月7~8日に同地クリティバの外周を使った高速レイアウトでの1戦を予定し、フルタイム・スポーツのトヨタ・カローラをドライブするフィッティパルディに加え、バリチェロの息子“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)の出場も予定されている。

週末は2ヒートともに6位となったルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)は、ランキングでも同じく6位につける
レース2では上位進出を狙ってオーバーカットの戦略を遂行したIpiranga Racing(イピランガ・レーシング)のチアゴ・カミーロ(トヨタ・カローラ)
レース1で18位だったガエターノ・ディ・マウロ(KTF Racing/シボレー・クルーズ)も、戦略により2位浮上に成功した
「チームの助けで、困難な週末を最善の方法で締め括ることができた」と語るチアゴ・カミーロが、ランキング5位に浮上

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