F1ハンガリーGP決勝後、5人に戒告。ベッテルはレインボーカラーTシャツを脱ぎ忘れ、勝者オコンはピットに戻らず

 F1第11戦ハンガリーGP決勝前の国歌演奏の際、ガイダンスに従わなかったとして、複数のドライバーが戒告処分を受けた。

 決勝後、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、ランス・ストロール(アストンマーティン)がスチュワードから召喚された。国歌が流れる際に、WRAO(WeRaceAsOne)Tシャツを着ていたからだ。

 ドライバーはレース前のセレモニーでグリッドで集まった際には、GPDA支給のWRAO TシャツあるいはWeRaceAsOneの価値観を支持するメッセージを伝えるウェアを着ることが許される。しかし国歌が流れる際にはそのTシャツを脱ぎ、レーススーツ姿で、自分の名前が示された場所に移動しなければならない。

 スチュワードは、4人はTシャツを脱ぐのを忘れたと説明したとして、それぞれに戒告処分を与えた。

 ベッテルは、他のドライバーたちとは異なり、「Same Love」という文字が入ったレインボーカラーのTシャツを着ていた。ハンガリーでは今年6月、18歳未満に対し、同性愛や性転換を広める議論を制限する法案が可決され、大きな批判の声があがっている。ベッテルはハンガリーGPでLGBTQ+の人々をサポートする立場を明らかにし、LGBTQ+を象徴するレインボーカラーの入ったシューズ、ヘルメットを使用していた。

2021年F1第11戦ハンガリーGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)のヘルメット
2021年F1第11戦ハンガリーGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)のシューズ

 ベッテルは処分が決まる前、『Sky Sports F1』に対して、「失格にされてもかまわない。彼らは僕に対して好きなようにできる。僕は気にしない」と述べ、LGBTQ+の人々をサポートしたいという強い意志を示していた。

 決勝を2位でフィニッシュしたベッテルだが、レース後に規定量の燃料サンプルをマシンから採取できなかったことで、失格の裁定を受けた。現在アストンマーティンが上訴を行う可能性を検討しているため、リザルトは暫定扱いとなっている。

 決勝で優勝したアルピーヌのエステバン・オコンも、レース後、スチュワードに呼び出された。マシンを決められた場所にとめなかったためだ。

 トップ3でフィニッシュしたドライバーは、ピットレーンに戻り、自身のポジションを示すボードの後ろにマシンをとめなければならない。しかしオコンは、コース上のピットレーン終わり近くにマシンをとめた。

 オコンの説明では、ピット入口を過ぎてしまったため、ピット出口近くにとめるのが一番いいと判断したということで、謝罪し、次回は注意して行動すると約束。スチュワードはオコンに対して戒告処分を下した。

2021年F1第11戦ハンガリーGP 優勝したエステバン・オコン(アルピーヌ)

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