バイデン米大統領、渡米した香港市民に1年半の滞在許可

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ジョー・バイデン米大統領は5日、香港市民に一時的な「安全地帯」を提供すると発表した。

バイデン大統領は、中国政府が香港の自由が脅かしている現状を受け、渡米した香港市民に18カ月の滞在許可を与えると説明した。すでにアメリカに滞在している多くの香港市民にも適用される見込みだ。

アメリカ政府によると、2019年には15万5000人、2020年には2万3000人の香港市民が渡米している。

中国政府は昨年6月、香港国家安全維持法(国安法)を制定し、中国からの分離独立や中央政府の転覆、テロ行為、外国勢力との結託を犯罪化した。

これを受けてイギリスは今年1月、香港市民にイギリス市民権を獲得できる道を開く、新たな特別査証(ビザ)の申請受付を開始している。

バイデン大統領は、香港市民の長期滞在を許可する「切迫した外交政策上の理由」があると述べた。

また、中国政府が「残った民主的手続きや機構を揺るがし、学問の自由を制限し、報道の自由を抑圧している」と指摘。国安法が制定されて以降、活動家や野党政治家など100人以上が逮捕されていると述べた。

これに対し、在米中国大使館の劉鵬宇報道官は、アメリカ政府の決定は「事実を軽視・歪曲しており、中国の内政にはなはだしく干渉している」と批判した。

米ワシントンに拠点を置く香港民主委員会の朱牧民氏は、アメリカの決定によって10万人の香港市民が影響を受けると推測している。

BBCの取材で朱氏は、「非常に大きな数で、おそらくかなり多くの訪米者が恩恵を受けると思う」と述べた。

「香港の状況はかなり周知の状態で展開しているし、実際に多くの香港市民がアメリカやほかの国に渡っている」

アメリカを拠点とする研究者のマギー・シャム氏は、香港からアメリカに来た多くの学生が、政情不安の中で香港に帰るかどうか迷っており、5日の発表に喜んでいると語った。

ロイター通信の取材でシャム氏は、「バイデン氏が、私たちを見捨てない決定をしたことに感激している。アメリカは私たちを見捨てなかった」

バイデン政権はかねて、香港の民主主義が損なわれているとして、対策に乗り出している。

7月には、国安法下の香港で活動する企業に警告を発していた。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は、バイデン氏の発表を「寛大な決定」だと歓迎した。

イギリスが1月に導入した特別ビザは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持てるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者と、その扶養家族が対象。イギリスに5年間滞在でき、就業・就学も可能となる。5年の時点で永住権の申請ができるようになり、さらにもう1年滞在することで、市民権を得る資格が与えられるという。

イギリス政府は、全体の対象者は540万人に上るが、最初の5年で約30万人が申請するとみている。

(英語記事 Hong Kong residents can stay in US, Biden says