侍ジャパンは韓国の敗戦を教訓にすべし 金メダルへ欠かせない総力継投の“鉄則”

韓国は5日の試合で米国に敗退し3位決定戦に進んだ【写真:AP】

野球評論家の飯田哲也氏が米国と韓国の勝敗を分けたポイントを解説

侍ジャパンが悲願の金メダルをかけて戦う相手は、米国に決まった。東京五輪の野球競技は5日、横浜スタジアムで敗者復活の準決勝が行われ、米国が7-2で韓国に快勝。7日の決勝戦で野球日本代表「侍ジャパン」と対戦することが決まった。現役時代にヤクルトで名外野手として鳴らした野球評論家の飯田哲也氏が米国と韓国の勝敗を分けたポイントを解説。そこから侍ジャパンにとっての教訓を導き出す。

米国が韓国を下した一戦。飯田氏は「勝敗を分けたポイントは、6回の米国の攻撃にあったと思います」と指摘した。

韓国先発の高卒新人左腕イ・ウィリに対し、米国打線は5回までに2点を奪ったものの、キレのあるストレート、スライダー、チェンジアップのコンビネーションに苦戦し9つの三振を喫していた。この時点でイ・ウィリの球数は88球に達していた。

1点リードと僅差で迎えた6回の頭から、韓国は2番手の右腕チェ・ウォンジュンに交代。この継投を飯田氏は「米国の選手たちは“ラッキー”と思ったのではないでしょうか」と読み解く。結果的に、韓国はこの回だけでなんと5人もの投手を投入。米国打線の勢いを止めることができず、一挙に5点を奪われて試合の行方を決定づけられてしまった。

飯田氏が強調した決勝のポイントは「四球を与えないこと」

まず、チェ・ウォンジュンが先頭のフレイジャーに粘られ、12球を要した末に四球で歩かせた。すると、早くも左腕チャ・ウチャンにスイッチ。左腕が左打者のフィリアを空振り三振に仕留めると、ワンポイントでまた交代。右打者のウエストブルックに対しては、右腕のウォン・テインをぶつけたが、右前打を浴び、続くコロスバリーには左前適時打を許した。

さらにアレンにも四球を与えると、ウォン・テインは降板。この回4人目の投手となったチョ・サンウも、ロペスに左前適時打を浴び、アルバレスの一塁ゴロの間にも失点。オースティンには中前への2点適時打を許して、マウンドをキム・ジンウクに譲ることになった。

この6回の攻防に決勝へ向けた教訓があると飯田氏は言う。決勝では侍ジャパンも総力を結集した継投策を繰り出す構えだが、同氏は「大事なのは四球を与えないこと。この日の韓国も、結局先頭打者を四球で歩かせ、1点を失った後にも四球でピンチを広げたことが、ビッグイニングにつながってしまいました。教訓とすべきだと思います」と指摘した。

国際大会で連打、連打で点を取ることは簡単ではない。だからこそ、四球や失策を犯した方がどんどん不利になっていく。「米国の打者には確かにパワーはありますが、これまでの試合を見る限り、今大会の使用球はNPB統一球などに比べると、飛距離が出ない印象です。日本の投手陣の力量をもってすれば、それほど1発に神経質になる必要はないと思います。むしろ四球を与えて傷口を広げることの方が怖いですね」と飯田氏は強調した。

四球や失策で相手をアシストしてしまうことこそ厳禁。失点を最小限に抑えることが、金メダルへの近道になりそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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