経産省、2030年の発電コスト検証結果発表 太陽光8.2円~11.8円

経済産業省は8月3日、新たな発電設備を更地に建設・運転した際のキロワットあたりのコストの試算結果を発表した。2020年時点と2030年時点のコストを試算している。

発電コスト検証は、異なる電源技術の比較を行うため、立地制約等を考慮せず、機械的に算出した。検証の目的は、各電源のコスト面での特徴を明らかにすることだ。どの電源に政策の力点を置くかなど、2030年に向けたエネルギー政策の議論の参考にするという。なお、機械的に算出しているため、燃料費の見通し、設備の稼働年数・設備利用率、太陽光の導入量などの試算の前提を変えれば結果も変わる。

前回の発電コスト検証は、2015年に実施した。今回のコスト検証でも、前回の計算式や考え方を踏襲している。また前回は2014年時点と2030年時点のコストを算出したことも踏襲し、今回は2020年時点と2030年時点のコストを試算した。

また、太陽光・風力(自然変動電源)の大量導入により、火力の効率低下や揚水の活用などに伴う費用(電源別限界コスト)が高まる。今回の検証では、この費用について、系統制約等を考慮しない機械的な試算に加え、系統制約等を考慮したモデルによる分析も実施し、参考として整理している。

2030年のコスト試算では、太陽光(事業者)が1キロワット毎時で8.2円~11.8円、太陽光(住宅)が8.7円~14.9円だった。これに対し、LNG火力は10.7円~14.3円、原子力が11.7円~と試算している。2020年のコスト試算では、太陽光(事業者)が12.9円、太陽光(住宅)が17.7円、LNG火力が10.7円、原子力が11.5円~だった。

また、風力発電関係のコスト試算では、陸上風力が2020年の試算で1キロワット毎時19.8円、2030年の試算では9.9円~17.2円だった。一方、洋上風力の2020年の試算は30.3円、2030年の試算は26.1円と試算している。

2020年の電源別発電コスト試算の
結果概要

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