ユズ残さ、肉用牛飼料に 西米良村、循環型農業へ研究

ユズの残さを活用したサイレージを与える生産者

 西米良村は、村特産のユズの残さを活用したサイレージ(家畜用飼料)を作り、肉用牛に与える循環型農業の構築に乗り出している。サイレージを食べた牛の変化を検証した試験では、血中のビタミン量が増えるなど良好な結果も出ており、関係者は「西米良ならではの農業生産体制を構築し、地域ブランド牛づくりにもつなげたい」と話している。
 村によると、村内では年約170トンのユズを生産し、青果を除く9割以上は村内の企業が加工用として使用。ゆずごしょうの原料となる青ユズの皮以外の部分など年100トン前後の残さが出るが、ほとんどは廃棄物として処理してきた。一方、かんきつ類の残さを使った飼料開発には先行事例があり、県などと連携し、昨年度から有効活用へ向け研究を進めてきた。
 研究は、村内の畜産センターの一部の牛を対象に実施。残さを乳酸菌などとともに容器に入れてサイレージを作り、肥育牛に約3カ月与えると血液中のビタミン量が増加した。授乳により体重が落ちやすい出産後の繁殖雌牛は、体重の変動が少なくなったという。
 研究に協力する生産者の田爪勉さん(42)=同村横野=は「新しい餌を実際に食べてくれるか心配もあったが、与えてみると食い付きがいい」と語る。
 村は来年度から、同センターで飼育する繁殖雌牛約60頭の餌として、本格的に導入したい考え。村農林振興課の濵砂亨課長は「循環型農業を推進するとともに、『ゆずサイレージ』を食べ続けた肥育牛を、西米良のブランド牛として特産品化していくことも視野に入れて取り組みたい」と話している。

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