侍ジャパンに立ちはだかる米国先発の鷹マルティネス データが示す“隙”とキーマン

決勝戦で先発する米国代表のニック・マルティネス【写真:AP】

米国先発マルティネスの投手としての特徴は…

東京五輪を戦う野球日本代表「侍ジャパン」は7日、横浜スタジアムで悲願の金メダルをかけ、米国代表と決勝に臨む。予告先発投手は侍ジャパンが森下暢仁投手(広島)、米国はニック・マルティネス投手(ソフトバンク)に。今季パ・リーグ7勝をマークしている右腕が侍ジャパンの前に立ちはだかることになる。

日本のファンにもよく知られた存在のマルティネスだが、どんな特徴を持った投手だろう。改めてデータなどから読み解いてみよう。

2018年に来日したマルティネスは昨季までの3年間、日本ハムでプレーした。2019年は公式戦登板なし、2020年も2勝止まりに終わったものの、2018年には10勝をマーク。今季からソフトバンクに加入すると、前半戦11試合で7勝2敗、防御率2.03と好成績を残している。五輪ではグループリーグ第2戦の韓国戦に先発して5回1失点と好投して勝ち投手となっている。

マルティネスは150キロ台中盤の力のある真っ直ぐとツーシーム、カットボール、ストレートと約20キロの差があるチェンジアップ、そしてカーブを武器とする。どの球種もハイレベルだが、特にこのカットボールとチェンジアップが強烈。ペナントレース中も他球団の打者はこの2球種には手を焼いていた。

マルティネス攻略の鍵は初回の立ち上がりか

そして、コントロールがいいのもマルティネスの武器の1つ。今季はここまで11試合で71イニングを投げて、四球はわずか16個。BB%は5.7%、K/BB%は19.9%で、これは山本由伸投手とほぼ同水準にある。さらに今季は先発した11試合で最多の失点は3。10試合で6回自責点3以内のクオリティースタートを達成しており、安定感も光る。

ただ、付け入る隙がないわけではない。今季ワーストの6回3失点だった6月26日の楽天戦では初回だけで3失点。今季の16失点のうち6点が初回に失ったもので、3回に3失点、4回に2失点と序盤の失点が多い。7月31日の韓国戦でも初回に失点。尻上がりに調子を上げていくタイプだけに、立ち上がりは1つの攻略の鍵になりそうだ。

手強い相手となるのは間違いないマルティネスだが、侍ジャパンにはキーマンになるべき存在がいる。それが、ソフトバンクでバッテリーを組む甲斐拓也捕手だ。

侍ジャパン・甲斐拓也【写真:AP】

ソフトバンクでバッテリーを組む甲斐はマルティネスを知り尽くす

今季からソフトバンクでチームメートとなったマルティネスと甲斐。ここまで7勝をマークしているが、好投するたびに右腕が名前を出して感謝を口にしてきた存在が甲斐だった。侍ジャパンの多くの選手がマルティネスとの対戦経験があるものの、球種や球筋、特徴、傾向など右腕のありとあらゆるデータを甲斐は把握しているだろう。

甲斐のほかにも侍ジャパンには千賀滉大投手、柳田悠岐外野手、栗原陵矢捕手とソフトバング勢がズラリ。さらに言えば、近藤健介外野手は昨季までチームメートで、今季は敵としても対戦している。マルティネスにとっても同様ではあるが、右腕のことを知る選手が多くいることは、侍ジャパンにとって大きなメリットではないだろうか。

37年ぶりの金メダルを目指し、最後の大一番へと臨む侍ジャパン。難敵マルティネスを攻略し、悲願を達成できるだろうか。(Full-Count編集部)

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