MotoGP第10戦スティリアGP:シーズン後半戦、中上貴晶が初日総合トップタイムで口火を切る

 約1カ月のサマーブレイクを経て再開された2021年シーズンのMotoGP。後半戦最初のレースとなる第10戦スティリアGPのフリー走行1回目、2回目がオーストリアのレッドブルリンクで行われ、MotoGPクラスは中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が総合トップで初日を終えた。
 
 初日の走行が始まる前日の8月5日、バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)が今季限りでの引退を表明。ロッシにとって、MotoGP最後となるシーズンの後半戦が始まる。一方、スティリアGPではふたりのライダーが参戦する。ひとりはダニ・ペドロサ。2018シーズンを最後に引退し、2019年からKTMのテストライダーを担ってきたペドロサが、レッドブル・KTM・ファクトリーレーシングからワイルドカードとしてエントリーした。もうひとりはカル・クラッチローで、6月下旬に左ひざの手術を受けて復帰に向けリハビリ中のフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)の代役参戦となる。
 
 フリー走行1回目は、気温22度、路面温度25度のドライコンディションで始まった。序盤はジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)がトップに立つ、なお、スズキはこのスティリアGPで、スクアッティング・デバイスと呼ぶいわゆる車高を調整するシステムを導入している。他の5メーカーは前後の車高調整システム(ホールショット・デバイス、ライド・ハイ・システムなどとも呼ばれる)を備える一方、スズキはこれまで、フロントのシステムのみを使用していた。
 
 残り時間20分、2番手にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が浮上。その5分後、走行中のペドロサがコース脇でバイクを止め、ピットに戻っている。転倒した様子は見られないことから、技術的なトラブルのようだ。一方、3コーナーでミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がハイサイドを喫して転倒。KTMによれば、オリベイラはセッション後にメディカルセンターで検査を受け、骨折はなかったということだ。
 
 残り時間3分を切って、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)がトップに浮上。直後にミルが同タイムを記録すると、ミルはさらにタイムを縮めて再びトップに立った。さらに中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が、ミルから0.004秒差の2番手につける。
 
 中上は最後のアタックで1分23秒805を記録し、シーズン後半戦最初のセッションとなるスティリアGPフリー走行1回目をトップで終えた。2番手はミル、3番手はアレイシ・エスパルガロ。4番手はリンス、5番手はポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)だった。
 
 マルク・マルケスは6番手で、6番手までにホンダ勢が3台入っている。クアルタラロは8番手、ワイルドカード参戦のペドロサはトップから1秒045差の11番手でKTM勢最上位。ロッシは16番手、クラッチローは23番手だった。

■【FP2】ウエットコンディションでサバドーリがトップタイム

 フリー走行2回目は、午前中の天候から一転して雨が降り、ウエットコンディションとなった。なお、フリー走行1回目でハイサイド転倒を喫したオリベイラは、序盤に1周したのみでピットに戻っている。
 
 ウエットコンディションのなか、マルク・マルケスが序盤にトップタイム、2番手タイムをポル・エスパルガロが記録して、レプソル・ホンダ・チームのふたりがトップ2につける。その後、2番手にはロレンツォ・サバドーリ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が浮上するが、トップはマルク・マルケスが維持した。
 
 セッションが進むに従い、路面状況がドライとまではいかないまでも、次第に回復していく。ただ、スリックタイヤを履くには至らず、走行は最後までレインタイヤで行われた。
 
 残り時間5分を切って、サバドーリがトップタイムをマーク。サバドーリがこのままトップタイムでセッションを終えた。2番手はヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)、3番手はミル、4番手はフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、5番手にアレイシ・エスパルガロが入った。アプリリアはトップ5にふたりのライダーが入る結果である。
 
 フリー走行2回目のコンディションにより、初日の総合結果はドライコンディションで行われたフリー走行1回目の結果と同様となった。

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