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相手に警戒され、厳しいマークにさらされるのはスコアラーの宿命だ。しかしそんな苦しいシチュエーションもシューター林咲希(はやしさき)には慣れたもの。「コートに立っている以上、自分の役割を果たすのが使命」と言ってきた通り、数字に表れないプレーでも貢献した。
バスケットボール女子準決勝は世界ランキング10位の日本が、世界5位でリオデジャネイロ五輪4強のフランスに87-71で快勝し、銀メダル以上が確定。初の4強入りを決めた準々決勝に続き、またも歴史を塗り替えた。
18アシストで五輪記録を更新した町田瑠唯(まちだるい)がヒロインとなった試合で、渋い魅力を輝かせたのが林だ。「スリー(3点シュート)だけじゃない」という強みを存分に発揮した。自らへのマークをアウトサイドに張り付けにし、インサイドを空けたのは狙い通り。そこに飛び込む町田が自由にプレーするのに十分なスペースを生み出した。
それにしても相変わらず3点シュートライン付近ではボールを持たせてもらえない。ならばシュートレンジを広げればいい。そんな声が聞こえてきそうな第2クオーター8分50秒。3点シュートラインから1メートル以上離れてボールを受けると、そのまま思い切りよく放ったシュートはリングを捉えた。
この日は特に「走ることを意識した」。攻守の切り替えではチームの先頭を走り、相手の足は前半で止まった。守備も自分よりも7センチ大きい選手を守る場面もあったが、体を張り続けてペースを引き寄せた。
ベストゲームを続けてチームのムードも最高潮。次戦は五輪最終日の8日、6連覇中の米国に挑む。1次リーグで敗れた相手に「リベンジできる」と背番号27。大偉業を成し遂げるか。「40分間、自分たちのやるべきことを徹底するだけ」。自信に満ちた表情に、何かをやってくれそうな予感がする。