選手の手柄は…?

 協力した方もいらっしゃるだろう。東京五輪・パラリンピックで授与されるメダルの材料には、携帯電話や小型家電から取り出した金、銀、銅のリサイクル金属が使われている。かつて役所や郵便局には回収箱が置かれ、国民に提供を呼び掛けた▲「国民参加」でできたメダルをどうか大切に扱って-というメッセージなのか、ただのジョークか。大会組織委員会が「メダルは食べられません」と“公式見解”を出し、ちょっとした話題になっている▲メダルをかんで喜びを表す選手が多く、それを受けての「食べられません」だが、選手はマスコミにやらされている、とも指摘される。かむように求められても拒否するメダリストもいるという▲好んでかじる人もいる。名古屋市の河村たかし市長が、ソフトボール日本代表選手の金メダルを了解なしにかじって非難を浴び、おわびした▲メダリストを気取ったのだろう。とてつもない努力を重ね、重いメダルを手にした選手の横で、自分の手柄のようにおどけて見せる。軽々しさ、粗雑さが際立っている▲五輪で日本選手が活躍すれば、政権の「大きな力になる」と言い放った自民党議員もいる。選手の手柄は政権の手柄-と思いたいらしいが、そう甘くはないだろう。五輪も終盤の折、政府のコロナ対策は混乱を極める。(徹)

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