韓国経済紙が文政権の国産化政策に疑問「9千億かけて1千億の効果」「日本企業なしに生産不可」

韓国の有力経済紙が、ムン・ジェイン(文在寅)政権の素材・部品・装置(通称・素部装)の国産化政策の効果に疑問を呈している。同政策は2019年にとられた日本の対韓国半導体素材の輸出規制(輸出管理強化)に対抗するものだ。

(画像:韓国経済新聞の当該記事キャプション)

韓国経済新聞は4日、イ・スビン産業部記者名義で、「9000億かけて1000億の効果を出した素部装政策」という題のもと、素部装政策は政府が言うほど成果を出しているのかと疑問を呈する記事を掲載した。

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イ記者は、素部装事業において韓国政府(科学省)が先月成果報告大会を開き、「素部装自立を成し遂げた」と自賛したことについて、「政府が明らかにした数字だけで、このような評価を下すことは拙速にみえる」と指摘した。

成果報告大会の報告書によると、韓国政府が、過去2年間に9241億ウォン(約888億円)の予算を投入して327億ウォン(約31億円)の直接・間接的な売上と726億ウォン(約70億円)の投資を創出したと説明した部分について、「素部装育成事業の経済的成果が投資額の10分の1にも及ばなかったということだ」とし、「実際の売上高につながった額がいくらなのか、どのような分野で成果を出したのかなどはまったく公開しなかった。いつごろお金になるのか疑問である論文や特許の価値を過度に高く評価したのではないかという批判が殺到している理由だ」と批判した。

(画像:韓国科学省の当該報告書に掲載された素部装開発の成果に触れた図キャプション)

また、「国産化」という目標そのものについても疑問を呈し、「国産素材と部品を使用して中間財を作ることと、これをグローバル市場に販売することは全く別の話だ」とし、「製造業界とは緊密な協力関係によって回る。似たようなレベルの技術であっても信頼関係が蓄積されていない会社の製品はまったく使わない。予期せぬ問題が起こればバリューチェーン全体が打撃を受けるからである」と述べている。

例として、半導体産業の「スーパー甲」(※産業の頂点)といわれるオランダASML社のEUV(極紫外線)露光装置を例に出し、「ASMLの180社パートナーのうち、韓国企業は1カ所もない」と指摘。「日本が三井ケミカル、京セラなどを保有しているとは対照的である。サムスン電子とTSMCが2年前に予約しなければならないほどの技術力を認められているASMLも日本企業の助けなしに機器の生産が不可能だということだ」と強調した。

その上で、イ記者は、「《私たちのモノの質はこんなに優れている》という自画自賛だけでは、どんな問題も解決されないという素部装企業関係者らの主張が今日に限って重く聞こえる」と付け加えた。

韓国科学省(科学技術情報通信部)は先月13日、「科技通信部素部装成果大会開催」報告書において素部装研究開発の支援成果について記述していた。

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