【陸上】バトン技術の向上だけでは… リレー侍の途中棄権に土江コーチの見解は

無念の途中棄権となった

東京五輪陸上男子400メートルリレー決勝(6日、国立競技場)、日本は1走の多田修平(25=住友電工)から2走の山県亮太(29=セイコーに)バトンパスがつながらず、無念の途中棄権に終わった。

予選を38秒16の1組3着で通過した日本は大一番を9レーンで迎えた。日本陸連の土江寛裕短距離強化コーチは「勝負しやすいレーンを獲得できたとポジティブに捉えた」と振り返るが、攻めの姿勢がミスにつながった。

また、土江コーチは「細かい話をすると言いわけみたいになってしまいますが…」と前置きした上でイメージしていたレースプランを明かした。

まずは2017年世界選手権で多田が外レーンを快走したことを挙げ「多田君がスタートから走れるだろうと。実際にそういう走りだった」。

その後は「2走が直線からスタートからできるということで、非常にスピードに乗りやすい。3走もカーブが緩いのでいい走りが期待できる。あとは前半リードすることで内側(のレーン)の国にプレッシャーをかけられるということがあったので、1~3走で勝負を決めたいと考えていた」と説明。多田、山県、桐生祥秀(25=日本生命)、小池祐貴(26=住友電工)の走順にも手応えを感じていた。

一方でスピードに乗れる状況だったからこそ、バトンパスのリスクも大きくなったのか。その可能性について、土江コーチは「そういうところまでスタッフが織り込んで選手たちに指示やアドバイスをするべきだったところはあったかなと。これは終わってみて、こういう結果だったからそういう反省が生まれてくるのだと思う」と語った。

2019年世界選手権でマークした37秒43の日本新記録を上回るにはバトン技術の向上だけでは限界との見方が強い。今大会は男子100メートルで蘇炳添(中国)が9秒83で自身の持つアジア記録を更新した。

土江コーチは「(日本も)そのレベルまで上がっていかないとリレーでも金メダルは難しいかもしれない」と世界との差を痛感していた。

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