MotoGP第10戦スティリアGP:ルーキーのマルティンがレコード更新タイムでポール獲得。中上貴晶は10番手

 MotoGP第10戦スティリアGPの予選がオーストリアのレッドブルリンクで行われ、MotoGPクラスはホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)がルーキーにして最高峰クラス2度目のポールポジションを獲得した。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は10番手だった。
 
 フリー走行3回目は気温23度、路面温度25度のドライコンディションで始まった。初日のフリー走行1回目でハイサイド転倒を喫し、フリー走行2回目をほとんど走らなかったミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)は、この日は走行している。前日の走行後の囲み取材をキャンセルしたが、KTMによれば転倒時にハンドルバーに手をぶつけ、骨に小さな亀裂が確認されたという。
 
 セッション序盤は、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がトップタイムをマーク。その後、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がそのタイムを0.024秒更新して1番手に浮上するが、中上は2番手をキープする。また、3番手にはルーキーのホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)がつけた。
 
 残り25分を切って、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)がトップタイムを記録。ミルがトップに浮上した。スズキによれば、この日から実装するリヤの車高調整システム(スクアッティング・デバイス)はミル、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)のバイクのそれぞれ1台ずつに搭載されているという。フリー走行3回目では、ミルは最初のコースインからスクアッティング・デバイスありのバイクを、リンスはシステムあり、なしのバイク両方を走らせているということだった。
 
 残り10分を切って、ビニャーレスが再びトップタイムをマーク。2番手にはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、3番手にフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)がつける。
 
 さらに残り時間が3分になると、予選Q2へのダイレクト進出をかけたタイムの後進が激しくなっていく。一度は2番手タイムを記録したクアルタラロだが、トラックリミットをオーバーしたために該当タイムがキャンセルに。しかし、続くアタックでもタイムを更新して1分23秒142をマークする。
 
 最後のアタックで、そのクアルタラロのタイムを上回ったのがバニャイア。バニャイアはクアルタラロのタイムを0.028秒更新して1分23秒114を記録し、トップでこのセッションを終えた。
 
 2番手はクアルタラロ、3番手はビニャーレス、4番手がマルティンで、5番手はミルだった。マルク・マルケスは7番手、中上は10番手で予選Q2進出を決めた。ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)は12番手ながら、KTM勢最上位。バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)は19番手、カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)は23番手で、Q1から予選に挑む。
 
 フリー走行4回目はクアルタラロがトップ、2番手がバニャイア、3番手はビニャーレスで、4番手はミル、5番手がマルク・マルケスだった。

■【予選】ルーキーのマルティンがポール獲得

 フリー走行4回目に続いて行われた予選Q1は、気温25度、路面温度32度のドライコンディションで始まった。リンス、ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)、レッドブル・KTM・ファクトリーレーシングのオリベイラやブラッド・ビンダー、ペドロサ、ロッシ、クラッチローなどがQ1から予選に挑んだ。
 
 前半のアタックではリンスがトップタイムをマーク。アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が2番手につける。前半のアタックを終えてタイヤ交換のために一度ピットに戻るライダーのなか、オリベイラが二人のタイムを上回ってトップに立った。
 
 オリベイラは後半のアタックでもタイムを更新。トップをキープしていた。しかし、残り時間1分を切ってエネア・バスティアニーニ(アビンティア・エスポンソラーマ)がトップタイムを叩き出し、さらにアレックス・マルケスが2番手に続く。
 
 ただ、バスティアニーニはトップタイムを記録したラップでトラックリミットをオーバーしていたために該当タイムがキャンセルとなった。このため、アレックス・マルケスがトップ、オリベイラが2番手でQ2進出を果たす結果となった。
 
 リンスはQ1突破ならず予選13番手、ペドロサも最後のアタックではトップタイムに迫るセクタータイムで迫っていたが最終的に予選14番手で、ポル・エスパルガロが予選15番手。ロッシは予選17番手、クラッチローは予選23番手となった。
 
 続いて始まったQ2では、まずクアルタラロが1分23秒259を記録してトップに立った。その後、ミラーやマルティン、ミルなどが相次いでタイムを更新するも、2番手に留まる。クアルタラロは3周目にさらにタイムを縮めてピットインした。
 
 後半のアタックに入ると、いち早くコースインしていたバニャイアがまずクアルタラロのタイムを0.037秒更新。さらにその後、ルーキーのマルティンが1分22秒994を叩き出してトップに躍り出た。このタイムはこれまでのオールタイム・ラップ・レコード、1分23秒027を更新するタイムである。
 
 しかし、クアルタラロがマルティンのタイムを上回るタイムを叩き出す。一時クアルタラロがトップに浮上したように見えたが、そのタイムは9コーナーでのトラックリミットをオーバーしたラップだったとしてキャンセルとなった。
 
 ポールポジションを獲得したのはマルティン。レコードブレイクタイムで、シーズン後半戦最初のレースでポールシッターとなった。2番手はバニャイア、そして最後のアタックでのトラックリミット超過が悔やまれるクアルタラロは、3番手だった。
 
 4番手はミラーで、さらに6番手にはヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)も入っており、ドゥカティ向きとされるレッドブルリンクで、2列目までに4人のドゥカティライダーが並ぶことになった。5番手はミル、マルク・マルケスは終盤に3コーナーで転倒を喫し8番手、中上は10番手だった。

2021年MotoGP第10戦スティリアGP:ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)
2021年MotoGP第10戦スティリアGP:バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2021年MotoGP第10戦スティリアGP:カル・クラッチロー(ペトロナス・ヤマハSRT)
2021年MotoGP第10戦スティリアGP:ダニ・ペドロサ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

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